森本晴生
高校生4人の交換留学の状況を見るために、3月上旬にカナダに行って来ました。最近、カナダの航空会社2社が合併し、成田空港からエアカナダが飛ぶようになり、バンクーバーでの乗り継ぎも便利になりました。
この時期のカナダは、それほど寒くはないのですが、念のためダウンジャケットを持っていきました。飛行機に乗るまでは、置き忘れないように気を付けて、脇に抱えていました。パスポート、航空券、出国カードなどのことを気を取られると、ジャケットを置き忘れそうになるので困ります。
飛行機は順調に飛び、定刻通りバンクーバーに到着しました。ゲートに止まると、すぐにエンジンが止まり、「ベルト着用」表示がすぐに消えます。日本の国内線だと、停止してからエンジンが止まり「ベルト着用」が消えるまでに1分以上かかます。なぜそうなるのか分かりません。だから、日本では「ベルト着用」を無視して立ち上がる乗客がほとんどです。「ベルト着用」を実行させたいなら、停止したらすぐに「ベルト着用」を消さなければならないでしょう。
バンクーバー空港は広く、10分ぐらい歩かないと国内線の乗り場には着けません。ここからは、プロペラ機のはずでしたが、今回はビジネス席のあるジェット機で、満席でした。ジェット機の飛行時間は正味30分。プロペラ機が45分かかるのに比べ大部速くなります。しかもエンジン音は小さいので楽です。途中で飲み物が出ました。日本の国内線ですと300キロなら飲み物が出ません。
飛行中、窓から下を見下ろすと、山に差しかかるにつれて雪を被って墨絵のような感じに見えます。枝道は雪で覆われていますが、通り抜ける道は雪がないので、灰色の線が白い山野間をくねくねと通っているのが見えます。
ケローナ空港ではKSS(Kelowna Secondary School)のマヒニー教頭が出迎えてくれました。泊めていただいたのはKSSの司書のお宅で、KSSを訪問する日本人をよく泊めるそうです。居間には日本人からの土産の人形、壁掛けなどがいくつも飾ってありました。
夕方、市内の散歩に出かけました。屋外の表示によると気温は8℃。半袖の人が歩いているのは見慣れていますが、50台の男性が半ズボンで歩いていたのには少し驚きました。
翌日、KSSを訪問しました。シェイブ校長は出張中でしたが、校長室で日本人留学生担当のカールソン先生(日本語担当で、4年ほど前に生徒を引率して東京文化学園を訪問した教員)と一緒に東京文化高校から来ている交換留学生に会いました。2人とも、学校生活、家庭生活などで、特に問題はないと英語で話してくれました。
カナダの学校では、日本のようにホームルームがなく、教員が自分の教室を持っています。カールソン先生の部屋は日本語教室になっていて、五十音表、日本の地図、風景や行事の写真、日本のカレンダーなどが掲示してありました。カナダのパソコンは日本語が使えませんが、この部屋のパソコンは、英語でも日本語でも使えました。
KSSの校舎は古くなったので、現在地から3キロ離れたところで、オカナガン大学KLO校の隣接地で新校舎を建築していました。建築中の校舎を案内してもらいました。これは鉄骨2階建、全体が大きい1棟なので、現在の「つぎたし校舎」より使いやすくなります。中央にある体育館の屋根の部分で42メートルの長い鉄骨を吊り上げて、組み立てていました。普通教室のほか、演劇教室、機械工作室、自動車工作室などが並び、図書室の窓からは外の緑の木々が見渡せます。今年の12月に完成し、年末に引っ越して、来年の1月からは新校舎を使うのだそうです。
地盤はカナダの中で最も良いそうで、地震対策はほとんどしていません。強度を上げなくていいから、鉄骨が少ないのですが、この地域ではごく普通の建物です。
工事現場では、安全帽、安全ベストを着用しました。
42mの鉄骨を組立てます。
夕方、迎えに来てくれたボブさんの車で60キロ北のバーノンにある彼の家に向かいました。ボブさんは東京文化学園に2回来たことがあります。
3日目、午前中は市内を見学し、昼からVSS(Vernon Secondary School)を訪問しましいた。デドラ校長は不在で、ジェリマ教頭が小さい会議室に東京文化からの交換留学生を呼んでくれました。2人とも元気で、カナダの学校生活を楽しんでいました。話のあと、ジェリマ教頭に校内を案内してもらいました。体育館では室内サッカーをしていました。ここはKSSより規模が小さいのですが、夜は社会人クラスも開いています。
帰りは、スクールバスで帰る生徒と、迎えに来た車で帰る生徒がいます。温度は5℃ぐらいのはずなのですが、半袖どころか、タンクトップで帰宅する生徒がいたのに驚きました。空気が乾燥しているせいであまり寒く感じられないのはわかりますが、カナダ人−−特に白人−−の寒さに対する抵抗力は日本人とはまるで違う、と冬に来るたびに思います。
4日目、あわただしい旅行を終えて、帰国の途に付きました。バンクーバーで乗り継いだ飛行機が成田空港に着陸して、まだ地上を走っているときは「ベルト着用」のランプが点灯しています。しかし、隣にいた日本人のカップルは何を思ったのか立ち上がり、通路を前のほうに歩き出してしまいました。飛行機が急に止まったり、速く動いたりすることがあるので、席を立つのは危険です。どうなるかと思っていました。飛行機が完全に停止して、「ベルト着用」ランプが消えてから、立ち上がって前を見ると、この2人は前のほうで客室乗務員に止められていました。初めての海外旅行だったのかもしれませんが、危ないことだと思いました。
日本の1学期が終わる頃、カナダでは1学年が終わります。暑くなった頃には、 例年どおり短期の「カナダ研修旅行」で中高の3,4,5,6年(中学3年と高 校生)の数十人がカナダを訪問することでしょう。