昭和6年、女子経専附属高等女学校は女子経専と旧成美高等女学校の教員を合体し、陣容を整えた。
そのときに校長新渡戸稲造は「教職員心得」を制定して全教員の賛意を求めた。
この教職員心得は本学園の教育精神として今日にまで伝承されている。
(引用するにあたり、現代仮名遣いに改めた。)
本校の教職に就くに当り私は自ら心得置き度き事がありますから左の通り陳述してご助力を得度く存じます 若し幸にして御同意下さらば御署名を願います
東京女子経済専門学校
附属高等女学校に於て
昭和六年四月四日
新渡戸稲造
教職員心得
東京女子経済専門学校
附属高等女学校
一、 人の子を預る以上は親心を以てこれに対すること
一、 学課を授くるに智育のみに偏せざるよう思慮と判断力の養成に努むること
一、 宗教は全然自由たるべきも生徒に対し宣伝がましきこと無きよう心得ること
一、 毎日授業を始むるに当り一分間沈黙を守ること
一、 予習は時間の許す限り校内に於てなすよう奨励すること
一、 生徒に関係ある人より贈り物ある時は決してこれを受けざること 但し辞し難きときはその処分を校長若しくは主事に相談すること
一、 同僚に就いて互に批評がましき事なきこと又金銭の貸借を慎しむこと
一、 学校の経営行政又は人事につき改善を要する件ありと思うときは遠慮なく直接校長又は主事に之を諮り生徒又は第三者にはからざること
一、 生徒に時間励行勤勉努力等の範を示す意味においても出勤退出又は授業時間はこれを厳守すること