森 本 厚 吉
(一) 女子経済専門学校 に於ては高等女学校卒業者に三ヶ年現代婦人に必要なる経済学を主とした大学教育を授け、新時代の要求する良妻、賢母、教員其他の職業婦人を養成いたします
(二) 消費経済研究所 に於は主として消費経済学殊に衣食住にかんする学理を研究しその実験を行ひます
(三) 文化普及會出版部に於て月刊雑誌『経済生活』その他図書の出版、講演会及び講習会の開催等によつて大学教育普及事業[ユニバーシテイエキステンシヨンオウク]を行ひます
第一條 本会は住宅の改良其の他の生活の合理化に必要なる事業を行ひ且つ之が知識の普及を図り以て国民生活を向上せしむるを以て目的とす
第二條 前條の目的を遂行する為左の事業を行ふ
一 現代生活に必要なる最新式設備を有するアパートメント・ハウス及中流階級模範住宅を供給すること
二 家庭及社会生活を合理化するに必要なる学科と実習を授け家庭経営指導者を養成すること
三 生活に関する理論と実際の研究を行ひ雑誌の発行書物の出版及講演会、講習会を開催すること
四 其の他本会の目的を達成する為必要なる附帯事業
第二章 名称及事務所
第三條 本会は財団法人文化普及會と称す
第四條 本会の事務所は東京市本郷区元町一丁目五番地に之を置く
第三章 資産及会計
第五條 本会の資産は左の各号より成る
一 本財団設立者森本厚吉の寄附する左の資産
北海道札幌市北十二條西三丁目一番地所在
西洋造二階建家屋
給水設備付 一棟 延建九十余坪
二 本会設立後寄附せらるべき金員及物件
三 本会設立後建設又は購入する動産及不動産
四 其の他の収入繰越金
第六條 本会の資産は現金又は有価証券は確実なる銀行及郵便官署に預入れ不動産は評議員会の決議に依り管理方法を定む
第七條 本会の経費は左の諸収入を以て之に充つ
一 資産より生ずる収入
二 本会事業に伴ふ諸収入
三 其の他の収入
第八條 本会の会計年度は毎年四月一日に始り翌年三月三十一日に終る
第九條 本会の予算は毎年評議員の議決を以て之を定め決算は其の認定を受く
第四章 役 員
第十條 本会に左の役員を置く
理 事 | 三名 | 内一名を理事長とす | |
評 議 員 | 八名以上 |
第十一條 理事は評議員会に於て選任す
理事長は理事の互選とす
第十二條 理事長は本会の事務を総理し本会を代表す
理事長事故ある場合は予め定め置きたる他の理事其の職務を代理す
第十三條 評議員は理事会の同意を経て理事長之を嘱託す
第十四條 理事又は評議員の任期は各四年とす但し再任を妨げず
補欠に依る役員の任期は前任者の残任期間とす
第十五條 役員は任期満了後と雖後任者の就任する迄は其の職務を行ふものとす
第十六條 理事長は本会に顧問幹事又は其の他必要なる職員を置くことを得
第五章 評議員会
第十七條 評議員会は必要の都度理事長之を召集し本会に関する重要なる事項を審議す
評議員会の議長は理事長之を掌る
第十八條 評議員は評議員半数以上出席するに非ざれば会議を開くことを得ず但し同一事項に付召集再囘の場合は此の限に非ず
第六章 解 散
第十九條 本会は民法第六十八條第一項第一号及第二号の事由あるに非ざれば解散せず
第二十條 本会の解散は評議員会の決議を要す
前項の決議は評議員全員の四分の三以上の同意あることを要す
第二十一條 本会解散の場合に於て残余財産ある時は評議員会の決議を経て之を同種又は類似の目的を有する事業に寄附す
第七章 附 則
第二十二條 本寄附行為の変更は評議員四分の三以上の同意を経且主務官庁の認可を受くるを要す
第二十三條 本会の事業施行に関する主要の細則は評議員会の議決を経其の他は理事長之を定む
第二十四條 本会設立当初の役員は設立者之を嘱託す。設立者森本厚吉は第十一條及第十四條の規定に拘らず本会設立と同時に理事長に就任し其の任期は無期とす
四、財団法人文化普及會役員
理 事 長 | ||||
帝大教授法学博士 | 森 本 厚 吉 | |||
ドクトル・オブ・フイロソフイー | ||||
理事兼評議員 | ||||
衆議院議員法学士 | 星 島 次 郎 | 聖路加病院内科長 | 橋 本 寛 敏 | |
医学博士 | ||||
評議員(ABC順) | ||||
帝大教授理学博士 | 五島清太郎 | 櫻蔭女学校長 | 後 閑 菊 野 | |
文化アパートメント管理者 | 森 本 靜 子 | 早大教授工学博士 | 佐 藤 功 一 | |
朝日新聞専務法学博士 | 下 村 宏 | 米国ペンシルバニア病院監督 | M・サツトレー | |
バチエラー・オブ・ロー | ||||
ヴオーリズ建築会社長 | W・ヴオーリズ | 東京女子大学長 | 安 井 哲 子 | |
バチエラー・オブ・フィロソフイー | ||||
東京電気会社長 | 山口喜三郎 | 帝大教授法学博士 | 吉 野 作 造 | |
ドクトル・オブ・フイロソフイー | ||||
株式会社大林組 五〇、〇〇〇円 ヴオーリズ建築事務所 五、〇八六 工学博士佐藤功一氏 一、五〇〇 オーチス、エレベーター 一、〇〇〇 株式会社総代理店米国貿易会社 顧問技師A・Pテーテンス氏 二〇〇 ブルーバード長井バネール氏 六〇〇 東京乗合自動車株式会社 二、〇〇〇 セール・フレーザー株式会社 二〇〇 鈴木彦次郎商店 (ラヂオ聴取装置一式) 五〇〇 其 他 二八八 総 計 六二、〇七四
昭和四年二月八日印刷納本 |
昭和四年二月十日発 行 |
文化アパートメントの生活 |
不 定価二十五銭 |
編 者 森 本 厚 吉 |
許 東京市本郷区元町一丁目五 |
発行者 坂 内 憲 策 |
複 東京市本郷区真砂町卅六番地 |
印刷者 左 手 薫 |
製 |
東京・本郷・お茶ノ水 |
発行所 財団法人文化普及會 |
電話小石川二九三二・五九〇 |