-5- 第252号  TokyuBunka Times  昭和52年10月11日

高等学校

50周年記念事業

海外研修旅行を実施して

校長 土居 孝輔

 われ太平洋の橋とならんー新渡戸戸先生が提唱された精神を、本校では教育目標の一つに「国際的視野をもった女性の育成」としてかかげています。
 私はこの立派な目標をなんらかの形で具体化していきたい、また生活の中にこの精神をなんとか生かしたいとかねがね考えてまいりました。時あたかも創立以来半世紀を迎える今日、記念行事を催すことになった折に、保護者のご支援と理事会の理解とを得て実現の運びとなったことは、誠に意義深いものを感じます。殊に、新渡戸先生ゆかりの地を訪ねる研修旅行という形で実施できたことは感慨あらたなものを感じるのです。
 さいわい、晴天に恵まれ、病人一人もなく、あまりある教育効果をあげ、満足して帰国できたことをここに報告いたします。期間わずか三週間でしたが、私自身も大変感じ入るところが多かったことを思うと、多感な生徒諸君にはいいしれない感動、感激が多かったことと思います。
 我々が接したかの地での人々は皆親切でおおらかでした。特に小さな子供のしつけの艮さと、青年のすがすがしさには驚きました。
 カナタのどの家の庭も手入れのゆきとどいた芝生と花でいっぱいでした。観光地でも層箱にさえごみ沢山たまっておらず、タバコの吸殻、ジュースの空缶等みあたりません。自然を愛し人を育て慈しむ気持と努力とがひしひしと感じられる思いでした。人を恐れない熊、狐、リス、袷羊、山羊、鹿等々、特にスタソレー公園ではカモメが手の届きそうな処まで来ますし、ディズニーラソドの雀が足元でチョロチョロ餅を拾っている光景は、この国の人達がいかに長い間、野生の動物達と親しんで来たかを感じました。一方私どもは今度の旅行を通じて、我が国の艮い点も再確認することが出来た事は、貴重な体験だったと思います。
 さて、こうして実った研修旅行、ことに、国際的生活感覚を明日の生活の中にどう生かしていくかがこれからの課題となりましょう。
五十周年の記念の年にこのようにしてスタートした試みが波紋をなして大きく広がり、見識の高い、視野の広い豊かな女佐像をめざす若人が、本校から巣立っていくことを切に希望してやみません。


昭和10年ごろのデンマーク体操

昭和10年頃のバレーボール風景

昭和8年卒業記念

高校の50年/学園アルバムより

ミセステナシーを囲んで

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