-3- 第337号 | 平成12年7月10日 |
短期大学 短大自己点検・評価委員会の活動状況報告
短大学長 村松一郎
近年、わが国の大学の研究、教育の充実発展のために、それぞれの学校独自の自由な展開を期待して、設置基準や教育過程などにおけるいろいろな規制が緩和されてきた。それと同時に、それぞれの機関自身が点検・評価を行って改善、充実の実が上がっているか不断に検証することが求められる。
特に短期大学が現在おかれている状況は厳しく、高等教育における役割が問われている。とりわけ進学希望の若者にどれだけ意欲をかさたて、内容に魅力を感じさせるかは緊急の課題である。我が校のおかれている状況も同様で、厳しい現実に対処するためには、まず、わが校の現況を客観的に把握したうえで、改善発展策を求めてゆかねばならない。現在、文部省の定める短大設置基準の第2条にも、各大学は自己点検・評価を行い、その結果を公表することと定められている。また、その結果について、教職員以外のものによる検証を行うよう努めなければならないとされている。
わが校では、1995年、この自己点検・評価をどのような組織でどのように実施するかを検討した結果、短大内に委員会を設置して、そこに本学園理事長が諮問する形をとることとした。まず、点検事項を設定し、それらに対応する小委員会を設けて作業を行った。
点検内容についての大項目は、次のようである。
教育理念・目的等、教育活動、学生生活、研究活動、情報システム(図書飴を含む)、学校行事ならびに社会との連携および国際交流、教員組織、管理運営及び財政、施設・設備、自己点検・評価体制、その他。
第一次の作業は1996年度から1997年度にかけて行い、その結果を「東京文化短期大学の現状と課題」−1997年度自己点検・評価報告書−と題して出版して理事長に対する答申とするとともに、短大内、学園内(役員、教職員、同窓会など)、および関係ある公的機関や家政科のある他短大などに配布公表した。
1998年度さらに第二次委員会をつくり、作業の内容を若干手直しして、はぼ前回同様に2年間かけて点検・評価を行った。その結果は今年3月、第二次の報告書として刊行し前回同様の各所に送付した。第一次、及び第二次の報告書は短大図書舘に備えてあるのてご覧頂き、ご意見、ご提言をいただければ有り難い。報告書にも載せてあるが、学生へのアンケート調査の結果などは今後の教育や学生募集などに役立つものと考えている。
今回の報告書に関しては、理事会内で担当理事を決め、短大に直接関係していない理事各位の意見をまとめて短大に伝えて頂くことになっている。これは前述の設置基準に定める当該短大教職員以外による検証となるものと考えている。今後は他短大と協議の上、相互評価を行うとともに、さらに点検内容の再点検を行って、第三次の作業に解り掛かる予定である。
家政科
生まれかわる時
短大助教授 大島 惠子
今年度も四月中旬より第一カフェテリアにおいて二年次生の給食管理実習が始まった。一グループ12名が力を集結し集団給食調理にいどむ初体験の場。
各自思いのこもったメニューをもとに実際に大量調理を行い、調理業務の効率的運営、衛生管理のあり方など給食運営に関する基礎知識および技衝を体得することを目標に実習に臨む。学生は二カ月前から実習準備にとりかかる。食品成分表、電車を用いての栄養計算から進んでパソコンによる献立作成を行う。
モニターに瞬時に示される栄養量や栄養比率に歓声がある。
このようにしてできあがった献立表をもとに試作・試食を行い、よりよい献立提供ができるようボリューム、味、寄り、盛り付けなどグループで検討を重ねる。その後はメニュー媒体作成。グループで準備を進めるうちに相手を知り、自分を理解してもらいながらグループが育っていく。
そして迎えた実習初日は不安と緊張の表情。各々に課せられた責任や役割を果たしたいという思いとは裏腹に時間ばかりが過ぎていく。あっという問に十一時十五分の給食開始時刻を迎える。食券を手にし食事を待ちこがれたお客様に思わず笑顔がこばれる。「おいしそう」「いただきます」 の声に緊張も疲れも吹き飛ぶ。
献立を作成し一日を運営した栄養士がお客様のもとへ足を運ぶ。お客様からの優しい言葉に感激の涙があふれてくる。
「ごちそうさまという言葉はいつも耳にする言葉ですがこれはど温かみを感じたのは生まれて初めて」という。
カウンターごしに、また食堂や下げ口でお客様と接する度に明日への力を得て栄養士の喜びや集団給食調理の楽しさが増す。
主任調理師は栄養士の右腕して調理全般を担当する。調師は炊飯や調味料の計量を行う作業員は材料の下ごしらえや器洗浄と細々とした仕事をこなす。食券を売り、食堂清掃や器を用意するのは事務員。各の役割のどれ一つ欠けても成立たない給食調理を体験の中、学ぶ学生たち。
多くの方々に支えられ五日の実習で学生は生まれかわっり新しい自分と出会う。人の一から考えれば短い短大二年間ごが、学生にとっては大きく生れかわる貴重な二年間のように感じられる。