小 栗 昭 夫
海と山と運河と寿司とガラス工房とスキー場と……どれもが素晴らしいここ小樽の街に住みついてまもなく23回目のクリスマスを迎えようとしています。
猛吹雪の中、一瞬の間にかき消されてしまうローソクを手に暗闇の中で全身凍(しば)れ切って氷でガキガキになりながらキャロリングをした年。星のきれいな静かな夜、教会員のお宅の前で"きよしこの夜"を歌っていたら、突然、近所の家の玄関が開いて「このグループのリーダーは誰ですか!」とコワモテのおじさんの声。思わず身構えながら「はい、私ですが…」と名のり出ると、さらなる大声で「イヤー!感動しました。こんな素晴らしいクリスマスを迎えられて感激です!」と献金までしてくれた年。あるいは、全員が手にローソクを持ってイブ礼拝をしている最中、小さな礼拝堂の中にあちこちで髪の毛の燃えるニオイが広がった年…。しかし、そのような中で、私の心にほろにがい?思い出の残る年がありました。
長男は6年生、次男は4年生、そして長女が1年、次女は幼稚園の頃。みんなサンタさんを楽しみに、精一杯心をこめてお手紙を書いてカベに貼りました。
「サンタさんへ。ぼくは○○があったらいいとおもいます。どうぞよろしくおねがいします。」その手紙を読んで走り回るのはこちら。
この年は全員オルゴール。人形がクルクル回ったり、雪がキラキラ舞ったり、可愛いゝぬいぐるみの人形のオルゴール。安らかな寝顔を見ながら幼子たちの枕元にプレゼントを置いて回るのも親のよろこび。ところが、真夜中の1時過ぎにそれは起きました。何と、一つだけ妙に箱が軽いのです。 ???と、急いで開いてみると、中は空っぽ! うかつにも買い入れしてすぐに車のトランクにしまい込んでおいたのでチェックしてなかったのです。さあ、それからが大変。オルゴール店に電話しても出るはずはなく、電話帳をめくっても社長や社員の名前もわからず、ついに意を決して110番!「幼い子供たちの夢だけはこわしたくないのです。ぜひ社長のお宅を調べて下さい!」警察も好意を持って協力してくれました。しかし「連絡は取れたけれど、関係者は札幌なので明朝一番で出勤する社員に連絡するからそれまで待ってほしい。」とのこと。もうこうなったら仕方ない。即、机に向かってペンをとり、子どもたち宛に「○○くんへ。きみはとてもいい子でしたので、ことしもプレゼントもってきましたよ。でもことしはとくべつに、このいえのどこかにそっとかくしておきました。めがさめたらみんなでさがしてごらん。サンタより」目覚めた子どもたちは「あれー、てがみだ。ワー、サンタさんどこへプレゼントかくしたのかなー!」その間、私はオルゴール店の前でジリジリしながら社員を待ち、午前7時、やっとのことで店内に飛び込み、プレゼントをワシづかみにとんぼ返り。玄関の下駄箱の上に乗せてホッとひと息…。ついに一睡もしないままクリスマスの朝を迎えました。その子どもたちも今では長男22才、次男18才、長女は高2,その下に中学生になった二女が…。
ある時、長男と次男がツラッとして曰く「あゝあの時ね。オレたち幼稚園の頃からサンタクロースは父さんだって知ってたよ。父さんたちをがっかりさせたくなかったから云わなかったのヨ」ですってサ!!
娘たちはどうだったのか、未だにこわくて聞いていません。(おぐりあきお・日本キリスト教団小樽聖十字教会牧師・第32〜34回野尻学荘 チャプレン・1945生)
***『トイレの改善に100万円を寄付』*** 野尻キャンプ場に下水道が敷設され、来年から水洗化される予定であることは前号でお伝えいたしましたが、このために東京YMCAは目下約3,500万円(内訳は下水道関係で2,500万円、関連する上水道の容量増強工事で1,000万円)の費用をかけてすでに工事を行っています。これにより衛生環境の飛躍的な向上と同時に自然環境も守ることが出来、長年の夢が実現されるわけです。― 防虫対策工事のために ー
野尻学荘クラブではこれに協力して、現在のトイレ棟の環境を一層清潔で快適なものとするために、「野尻キャンプ場トイレ棟改善工事指定寄付」として100万円を東京YMCAに贈ることとなりました。
これは、最近のキャンパーは蛾や昆虫がが飛び交う今のトイレを使うことが出来ずに、健康上も心配な事例が出てきていること。(この事は学荘以外の低学年キャンパーにとっては、より深刻な問題になっています)水洗化に合わせてトイレ棟そのものの環境も改善して、キャンプの健康・衛生状態を向上させたい。などの願いによるものです。具体的には、2棟あるトイレ棟の出入り口と窓に網戸を設置し、同時に天井からの害虫の進入路を遮断して、更に照明器具と電球の改善・交換によりトイレ施設環境全体を改善する工事です。
年内には野尻学荘クラブ幹事が東京YMCAに新堀邦司総主事を訪ねて寄付金を手渡し、工事をお願いする予定になっています。
***『歓迎します! 新会員』*** 今年4月から野尻学荘クラブは創立19年目を迎えて、第VII期に入っています。
今期になってから新しくクラブの会員となって下さった方は、現在17名になりました。心から歓迎いたします。 (今回は1998年7月12日以降の新入会員6名です。)では、恒例によりまして歓迎の歌を。
楽し野尻に 渡辺 優さんと 菅原秀支さんと 市川理樹さんと 上地 武さんと郷田典子さんと 高橋 伸さんを迎え、共に過ごすボクらは愉快です。
歓迎します。歓迎します。
ラランラララララーラ、ランラララララーラ、ランラララララララ〜ごゆっくり。
拍手パチパチパチパチ。
「スピーチ!」の声もあがり……(きりがないので以下省略)なお、この方々も含めて現在クラブ会員は132名の方々が会員として登録されています。皆様のお近くでまだご入会されていない野尻学荘関係者がいらっしゃいましたら、是非ご入会下さるようお誘い下さい。幹事にご連絡いただければ、入会手続きのご案内書をお送り申し上げます。
栗田秀樹大変集長までメール 頂ければありがたいです。
***『第5回思い出帳・寄贈される』*** 前号のクラブニュースで呼びかけをいたしましたが、これに応えて五千円(赤堀恒明氏・第5回ボーイズとして初参加・その後キャビンカウンセラー、学習、ヨットなどのリーダーとして合計14回参加・本クラブ創設以来の会員)から寄贈のお申し出を頂き、早速クラブ資料室に備えられました。この第5回は1936(昭和11)年7月23日から8月26日までで開催され、小林弥太郎荘長のもと、ボーイズ46、キャビンカウンセラー6、プログラムスタッフ13、医師2、荘母1、主事(住田明治氏)1、調理部5、雑務1の合計75名が参加しています。同年12月1日発行のこの本は「学荘のおもひ出 5」とタイトルされていて、表紙にはトーテムポールのカットが入り、本文には懐かしい先輩のお名前が次々に出てきます。今回寄贈された思い出帳は赤堀氏にとっても、ご自身の野尻学荘初参加の思い出多いもの。同氏は「私の宝物をお送りします。どうぞ、いつまでも大切に保管してください。」と書き添えて送ってきてくださいました。有り難うございました。これからは野尻学荘のみんなの宝物として、大切に保管して活用させて頂きます。なお、これにより今までに発行された野尻学荘の思い出帳はすべてクラブ資料室に蒐集されました。
***「学荘のおもひ出 5」から*** 『1936の野尻学荘』
小 林 弥 太 郎
今年の夏は野尻湖畔に於いて、第5回の學荘生活を今までにない成績を以て無事に終了する事が出来た。學荘生活の骨子は能動生活である。同じ子供達が毎年續けて學荘に来るとすれば来る度毎に前の年よりは一年だけ成長した子供達が来るのであるから、學荘自身もそれだけ成長して行かなければ、子供達の興味をとらえて行く事が出来ない理である。其処に學荘の能動主義の根拠がある。(以下略)
***〔特別寄稿〕*** 『第一回野尻学荘の思い出』
平成10年11月6日 伊 東 安 次 郎
第一回に参加以来、全くのご無沙汰で、学荘について語る資格のない過去の人でありますが、私自身の脳裏には鮮烈な印象が残って居ます。
野尻湖の対岸にそびえる妙高と黒姫の美しい姿、しらかばと共に点在する我々のハットと活動の中心になる食堂兼ホール(?)。
ここのポーチにはチャイム(パイプで音階あり)があって「時」を知らせてくれました。我々中学三年生(藤本博信兄と同年)が最年少だったと思われますが、素晴らしい諸先輩のリーダーさん達、そしてアプレンティスさん達が、至れり盡せりの面倒を見て下さいました。
水泳と洗濯の場でもあった湖の水は綺麗で意外に暖かく感じました。
当時、私は地方の県立中から東京の私立中に転校したばかりで、戸惑いやら孤独感のようなものもありましたが、急に温かい仲間に包まれた思いでした。
今だに楽しかったキャンプソング等が思い出されます。
あれから何十年が過ぎ、世の中には戦争やら色々の激しい変化がありました。
にも拘らず、学荘はよくぞ存続を果たし、更に発展を成し遂げられました。
時は巡り、人は変わっても、創立以来の素晴らしい伝統が受け継がれて運営されたことでしょう。
私は何のお役にも立てませんでしたが、学荘が益々安泰に人々に楽しい仕合せを与え、大きな実りを結ばれることを心からお祈り申し上げます。(いとうやすじろう・1917年生・80才・旧姓中村・第1回野尻学荘の睦小屋に ボーイズとして参加・キャビンリーダーは故中村藤太郎氏)
***『クリスマス恒例・拡大幹事会のおしらせ』*** さて、毎年師走となりますと幹事により拡大幹事会(その実は老若善男善女の飲み会であると云う御尤もなご指摘もございますが)が開かれます。今年も下記のように開催されますのでどなた様も奮ってご参加の上、共に楽しい一時を過ごしましょう。
12月4日(金)午後6時半〜
浅草橋「モモ」
会費 3,500円を越えない範囲
***『会員消息』***
赤井淳一郎ドクター(赤チャン)
10月25日には国体のパワーリフテイングに出場。年齢制限なしの強敵ばかりの中、自己記録を10kgもアップして400kgに迫る大記録で見事5位入賞。メダルは3位までで惜しくも逃しましたが、巨大な賞状をもらって大満足。
本人談「色男、金と力は無かりけりと云われていたのは誤りであることを私、実証いたしました。アッ、今度医学書院から学術書も出すのよ。アル中気味の人は読んでくださいネ。その関係の研究なのですよ。それからワタシ、何なら便秘だって治療しますヨ。」(以下、野尻学荘クラブ第VII期会費の郵便振替より近況を。敬称略でスミマセン)
佐脇 恒和
12月初めにまた転勤します。オーストラリアのメルボルンです。
森本 光生
姪の結婚式で東京YMCAに久しぶりに行きました。すっかり見ちがえりましたが、少年部の暖炉が残っていたので感激。
赤堀 恒明
元気です。オントシ75才ですが、スキーをやってます。
阿部 英世
元気で動き回っています。バイク、KAY合唱団など
山田 麻有美
毎年子どもたちがお世話になっております。お送りいただいている学荘クラブニュースは、下の子どもの愛読誌となっています。
野見山 芳忠
元気で過ごしております藤本さんのイラスト付記事を楽しみにしております。
田島 久士
相変わらず、中学教師として、忙しい毎日を送っています。
鈴木 栄
学荘OLD.BOYの生き残りになりました。クラブのいよいよの発展を祈ります
浅生 哲雄
長寿の里で晴泳雨雑で楽しく暮らしております。泳とは3.2Km離れた所にある大磯プリンスホテルの温水50mプールで500mづつ泳いでS43年から昨日まで2770回泳ぎました。大体年間100回以上です。雑とは写真8テープの整理・模型鉄道(HOとN)の車輌とレールみがきその他です。
長野 一宇
オメガのセンターボードを新しくしました。一人で運んでギックリ腰になりました。
戸村 裕実
クラブニュース懐かしく拝見いたしました。今期より入会させていただきます。今後ともよろしくお願いいたします。なお、住所が変更になっておりますので、よろしくお取りはからいください。
横山 祐介
思いがけずプログラマの道に迷い込んで10年がたちました。久しぶりに「野尻学荘」の文字を目にして思い出がよみがえりました。
毛利 俊雄
何期まで会費が払っていたか忘れましたが、とりあえず送ります。尚年金生活者のため1種会費にてお願いします。
内田 眞樹
ボーイズ集めのプロジェクトを作りましょう。BakaBon.
市川 理樹
働いてます。呑んでます。胃、壊してます。鍼、打ってもらってます。
一応、23才です。夏目 宣俊
2年前にYMCAのチャペルで結婚、ついこのあいだ、2人目の子供ができました。
コタロオ談「まさに快挙と申せましょう!」
豊原 祥徳
担当していた長野五輪も終了し、次は2008年大阪招致です。
上原 一俊
ニューヨーク在住
渡辺 優
1998年12月までは、ニュジーランドに居ります。12月に帰国の予定。
連絡は大磯の自宅へお願いいたします。(母 記)橘 昭平
愚息二人、お世話になりました。
伊東 安次郎
第一回キャンプに参加して以来、ご無沙汰、楽しかった友人、先輩に会う機会もなく、遠くなった楽しい野尻の思い出を大切に、この度、退会いたします。
(編集部・伊東さんには今回特別にご寄稿頂きました。あつく感謝申し上げます。)
上地 武
元気に過ごしております。遅らばせながら入会いたします。
よろしくお願いいたします。兜木 励悟
とりあえず会社社長(社員0)、読書執筆と営業の日々。
重税と不況にあえいでおります。一色 俊一
年令とともに体調があまり良好でなく健康に注意しつつ生活しています
笠利 和彦
30年ぶりにトランペットを手に入れ、時々吹いておりますが、息が続かず年を感じております。
村井 純
その昔、学荘はカナダのエルフィンストンとのキャンパー交換のプログラムを持っておりましたが、当時のボーイズ、ゴードンフランシス氏による突然の訪問を受けましたそうです。そしてゴードン氏は村井氏に言ったそうです。
「アベキホウの連絡先を教えろ!」(原語はおそらく英語と思われる)
安部 喜方
その昔、学荘はカナダのエルフィンストンとのキャンパー交換のプログラムを持っておりましたが、当時のボーイズ、ゴードンフランシス氏による突然の電話があった…
かもしれない。(現在真相究明中)
創立20周年記念
1999年度野尻学荘クラブ総会
時:1999年4月3日(土) 午後4時〜6時半1980年に創立された野尻学荘クラブは、会員諸兄姉のご協力により来年は創立20周年をむかえます。記念の総会を今から手帳に記して下さり、奮ってご出席くださいますようお願い申し上げます。所:東京YMCA地下レストラン「オーケル」
メインスピーチ 高橋 伸氏(国際基督教大学) 依頼中
「トラディッショナル・キャンプ―その理念と歴史と今日と―」