2001年3月2日発行
エルフィンストーン日誌(1)
森 井 利 夫プロローグ
昨年秋25年ぶりに引越しをしました。そのとき長い間埋もれていた山のような古文書?怪文書?出てきました。大半は思い切って処分しましたが、古い日誌など何10年も前の思い出は捨て難く引越し荷物に入れました。でも、このままでは「お前が死ねばただのゴミ」です。
人にも読んでもらって、何か役に立つようなものを活字にしておきたいと思い立ちました。
これから御紹介するのは1966年夏、当時野尻学荘とキャンパー交換をしていたカナダ、エルフィンストーンに、ボーイズ6名、リーダー6名で訪れたときの記録です。
近年もYMCAでエルフィンストーンをはじめ、海外のキャンプに参加するプログラムは続けられていますが、野尻学荘独自のキャンパーエクスチェンジプログラムは1964年以来10年(5往復)続きました。当時はこのようなプログラムは全国的にもまだ少なく、海外旅行自体が珍しい時代でした。ですから丁度35年前の私たちの経験は、今とはかなりへただりがあり、時代の比較、その間の日本とカナダのキャンプの変化などを知る資料にもなると考え、野尻学荘クラブ幹事会のお奨めによろこんでのっかることにしました。
このプログラム自体については、むかでワイズメンズクラブの文献や、当時の学荘思い出帳、学荘40回、60回記念誌などにも詳しく述べられていますので、ごく簡単に記しておきます。
1960年のはじめ、むかでワイズメンズクラブの笈川一さん、佐藤邦明さん、野島進さん(すべて故人)等の方々と、バンクーバーYMCAの有力なレイマン、S・ウェクリー氏、総主事のR・フェアバーン氏らとの間で、ワイズメンズクラブの子弟の交換としてスタートする話し合いがもたれ、現地三井物産支店長桜内武氏や当時アメリカ西海岸に定期航路をもっていた昭和海運などの協力もあって、まず第一陣の4名が出発したのは1964年のことでした。このときの野尻学荘のメンバーは、リーダー鈴木健彦、ボーイズ豊原祥徳、佐藤慧亮、笈川光郎の4名でした。
その翌年、1965年今度はカナダからD・ウォーレス、D・ミュラーの2人のリーダーとW・ウェクリー、B・フェアバーンら4人のボーイズ計6人が来日し、第40回野尻学荘に参加しました。実にこのことが私にとって翌年日本から2回目のエルフィンストーン参加を決意するきっかけとなったのです。
第40回野尻学荘で、私はプログラム・ディレクターでしたが、カナダからのキャンパーたちが学荘の生活のさまざまな場面で不適応をおこすのに興味をひかれました。YMCAのキャンプは、大体北米のYMCAのキャンプをモデルにしている筈なのに、そして野尻学荘は、小林弥太郎先生を通して当時からカナダやアメリカのキャンプから多くの影響を受けてきた筈なのに、なぜかれらは学荘の生活にコミットできないのか、単にことば、食事の問題だけではないとすれば、もっと基本的な文化の問題があるのではないか。当時個人的にも比較日本人論に関心をもちはじめていた私は、今後この交換プログラムを長く続けるためにも、個人的興味からも、ぜひ向うのキャンプをこの目で見、体で体験したいと思ったのです。今から考えるとずいぶんノーテンキな話です。ワイズメンズクラブのプログラムだというのに私はワイズの会員ではないし、現役の学生でもない。1965年には子どもも生まれている。次の年カナダからキャンパーを迎えたとき、ホームステイを受け入れることもできない。(当時1DKのアパートに一家3人で暮らしておりましたから)まあ、いろいろネックはあったのですが、むかでクラブの皆さんの御厚意(ホームステイ受入れのことなど)もあり、加えて、当時勤めていた短大の学長から、キャンプのあと、9月にワシントンD.C.で開かれる国際社会福祉会議にも出席するよう強くすすめられるというようなこともあって、このプログラムに参加するに至ったような次第です。余談ですが、私にアメリカ行きをすすめた学長は、日本の民間福祉活動のパイオニアでもある浄土宗の高僧で、私が出発するとき彼は病床にありましたが、挨拶に赴いた私に枕の下から取り出した200ドルを餞別として贈ってくれました。1ドル360円時代の200ドルとは、私の給料の3ヵ月分位に当たりました。彼が8月のはじめ亡くなったことを、私はキャンプエルフィンストーンで知りました。この人の紹介で、のちにロサンゼルスやシカゴで浄土宗の寺院を訪ね、さまざまな便宜を受けたことなどを思い出します。「長谷川良信」。宗教と教育と社会福祉の歴史上有名ですが、私個人にとっても忘れることができません。私はこの頃前後12年間、長谷川師が創立した淑徳大学に在職したのです。前おきが長くなってしましました。(いつものことですが)
1966年7月20日、この日から日誌は始まります。 一行は、森井のほか、リーダーは安藤忠君(アンドパン)、ボーイズは次の6名です。大場章正、平井守、小滝徹、吉川哲夫、藤本孝人、丸山光義。(藤本君はたしか中学生でした。高1だったかな?)
まだ、ジャル・パックも、ジャンボジェット機もない時代。海外に出かける日本人が年間10万人に満たない(現在は1,700万人位)頃のお話です。1回目のグループは昭和海運の貨物船で2週間かかって太平洋をこえたのですが、今回はカナダ太平洋航空のD.C.8でした。何回で完結するかわかりませんが、約1か月のカナダ滞在の日誌を抜粋して、お手元にお送りいたします。
(以下次号・もりいとしお・本会副会長)野尻学荘クラブニュースINDEXに戻る
クラブ総会のお知らせ
「楽しくて勉強になる!」と評判が上がってきている、年1回の野尻学荘クラブ総会が下記要項で開催されます。
今年はクラブVIII期の最初の(創設22年目)総会です。新たな名誉会員の推挙をはじめ、クラブの活動や会計の報告があります。メインスピーチは大倉健宏氏(現・学荘スタッフ)に野尻学荘の将来像を発題していただくことになっています。また、今年度様々な形でクラブの活動や野尻学荘をご支援下さった方々を「特別感謝ご招待」もしています。
今回はブッフェ(立食形式)で、中富レストラン特製のおいしいお料理を楽しみながら多くの出席者とご歓談いただけるようにと準備しています。ご夫人はもとより、ご友人の参加も歓迎いたします。
会員各位には奮ってご出席くださいますようお知らせいたします。
- 日時:
- 2001年4月7日(土) 午後4時〜6時半
- 場所:
- 東京YMCA地階 レストラン「オーケル」(旧中富食堂)
- 会費:
- 会 員3,500円(お食事代)
- 未会員4,000円
- (当日入会大歓迎。当日クラブに入会手続きされた場合は新入会員歓迎ご招待制度により、当日会費は無料になります!)
プログラム
- 総会議事
- 会長挨拶
- 名誉会員の推挙
- 2000年度会務・会計の報告
- 2001年度活動計画
- その他
- スピーチ 「21世紀の野尻学荘」
大倉健宏氏(福島学院短期大学助教授・野尻学荘プログラムディレクター)
- 会食・歓談
* 今年度の特別感謝招待者は次の方々です。(順不同・敬称略)
冨岡正男、丸山もと子、鈴木功男、松原健、小林太一、本田晃、(以上トミソングCD作成に際しての特別のご協力にたいして)。
赤井淳一郎(学荘ドクターとして長年のご奉仕にたいして)。
藤本孝人(いつも楽しい学荘イラストによるご協力にたいして)。
石井宏実(キツツキ通信HPによる継続的なご協力にたいして)
*お願い
このお知らせをご覧になりご参加をご希望される方は、当HP発行人 栗田 までメールにてお知らせ下さい。
準備等の都合により、勝手ながら3月20日までに頂けますようお願い申しあげます。
お名前、生年月日、ご住所、電話番号、メールアドレス、近況やコメントなども頂ければ幸いです。
なお、頂いた個人情報の住所、生年月日、電話番号、メールアドレスは、クラブで厳重に管理しクラブ外に漏れることはございません。
幹事一同こころより皆様のご出席をお持ち申し上げております。野尻学荘クラブニュースINDEXに戻る
新たに3名の方々がクラブ名誉会員に
野尻学荘クラブでは、3年に一度の会期切り替え時の総会で名誉会員の推挙を行ってきました。名誉会員はクラブ会員となってご支援下さっている満80歳以上の方の中から推挙されますが、今年の総会では3名の方々が選出されました。
名誉会員には総会で敬意をこめて「名誉会員の楯」が贈られます。また将来に亘って学荘とクラブをご指導いただきたいので、以後クラブ会費が免除されることとなっています。
現在クラブには11名の名誉会員がいらっしゃいますので、今年度の3名を新たに加えて14名となります。
「新名誉会員候補者のお名前」(年齢順・敬称略)
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おなまえ 初参加学荘回数 全参加回数 斉藤光雄 第1回 5回 奥村 修 第2回 8回 吉見治子 第19回 6回 *キャンプマザー
会費の更新をありがとうございました
新入会員も12名 継続未済の方はどうぞよろしくお願いいたします
クラブは今年4月から第[期に入ります。前号のクラブニュースで会費の更新をお願いいたしましたが、早くも現在までに100名をこえるの方々が手続きを完了してくださいました。ご協力を感謝いたします。
この中には、嬉しいことに新入会員12名の方々もいます。以下にお名前を記して歓迎の意を表します。(なお、新入会員は恒例により初めてのクラブ総会に招待されますので、是非ご出席下さい)
前期からの会員の方で、新期会費を未納のかたはお早めにご送金下さいますようお願いいたします。このニュースに郵便振替票の入っている方は未継続です。
また、郵便振替票の同封がなく、最近野尻学荘バナーがお手許に届いている方々はご継続済みですので二重送金のないようご注意ください。
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新会員のご紹介(入会日順・敬称略・2月末日現在)
お名前
甲子 康郎
田尻 充雄
石沢 耕平
若杉 羊奈子
河原 英夫
土井 宏二
稲本 献
河野 通隆
佐藤 和正
真野 玄範
高橋 謙一郎
伊原 正典
新しくクラブ会員になられた方々を心から歓迎申し上げます。
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トミソングCDが好評です
昨年のクリスマスにリリースされた「TOMI SONGS ―野尻学荘のうたごえ」は、その後学荘OBを中心に反響が拡がっています。中には「どうしようもなく素人っぽい歌い方がよい!」といった率直な評価も…。皆様からのご感想をお寄せ下さるとトミさんが喜びます。お待ちしています。
(クラブに寄せられた鈴木心さんからのメールをご紹介いたいます)
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さて、先週「学荘CD」を無事受け取りました。
いやー、良いです。
ほんとに素敵です。
何せ、2回しか参加していないので、
メロディーを覚えている曲は多いのですが
歌詞が怪しいものが多かった為、大変ありがたいものでした。
歌はもちろん、鐘の音や皆が踏む足音など、
当時を思い出させてくれる、臨場感溢れる内容で、
聞きながら、わくわくして、うれしくなりました。
当然、知っている曲は歌いました<家で、しかも大声で(笑)
CDを聞きながら、忘れていた野尻での出来事や、
キャンプサイト内の些細な景色や、美しい情景が
鮮明に蘇ってきました。
本当に、素敵なものをありがとうございました。
当分は、毎朝の通勤で活躍してくれることと思います。
学荘を卒業してもう10年になります。
僕が野尻で過ごした期間は、せいぜい2ヶ月程度だったと思います。
その短い期間に体験したことが、今尚自分の励みになっていることに
気づくたび、本当に感謝の気持ちでいっぱいになります。
今回もそんな出来事のひとつでした。
そういうわけで、私は今も「日々これ学荘」の生活を送っております。
野尻でワークキャンプの計画進む
―5月の連休に…寒いぞ!
野尻キャンプの管理・改善のお手伝いをしようと、クラブの新年度活動のひとつとしてOBワークキャンプが計画されています。
いままで毎年連休の時期には現役のリーダー達がワークキャンプに入って、おもに開荘作業をしていました。昨年から東洋英和のキャンプサイトもYMCAが管理するようになり、改善・修理をしたいところが増えたこともこの計画の動機になっています。
5月の連休に2〜3泊のワークキャンプをして、キャビンの整備、塗装、小径の整備などなどをしようという計画です。現在、クラブとYMCAで打ち合わせを進めていますが、出来ればキャンプに泊まり(寒そう!・ただしストーブの用意はあり)、食事は東洋英和OGの方々がご奉仕くださるかも…。更にむかでワイズメンズクラブの方々も同時期にワークキャンプをする計画もあるとのこと。
作業が順調にいったら、外人村近くの「大久保の水芭蕉」も観に行きたいですね。今年は大雪ですから、木陰には雪が残っているでしょうか。
詳細は次号でお知らせいたしますが、連休の立案には要チェックです。
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野尻学荘案内書が新しくなります
野尻学荘の案内書は2年に一回改訂をしていますが、今年はこの時期にあたります。
現在学荘スタッフを中心にYMCAで改訂編集作業が進められていて、4月からはこの新しい案内書を使用することとしています。今回の改訂では、中高生ボーイズ本人とその保護者に読んでいただくことを念頭に、より平易でわかりやすく、かつ学荘の楽しい雰囲気が紙面から伝わるようにと工夫しています。
学荘クラブでは今回も、この案内書1万部の印刷経費を全額支援する事となっています。新年度になりましたらクラブ会員の皆様のお手許にもお届けする予定です。
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会員消息
- 大木昭夫さん(アーメンでんすけ)
- このほど写真集「真空の島・台湾 大木昭夫写真集 TAIWAN 1971〜1978」(西日本新聞社・¥2,500+税)を出版。でんすけが約30年間も秘蔵していた作品の数々、入魂の一冊です。
- 山川国益さん(くにさん)
- 2月に心臓の再手術(バルーン)が成功。またまた元気になりました。本人談「カテーテルを今回は太股からでなく、腕から入れてもらいました。実は私が医者に頼んだのですが、医者も私の太股はもう見たくないと思っていたようで意見が合ったのです。ハイ。」
- 布能雄二さん
- この度、事務所が赤坂から銀座に移転しました。
- 「ごぶさたしています。上記の移転は実は"都落ち"です。(ホントです) Think Tankは日本では大変です」
- 布能さんの広―――い話題、編集部ではいつもお待ちしていますよ。
- 森井利夫さん
- このほどインターネットの大海原に漕ぎ出されました。グッドラック!
- 赤井淳一郎さん
- パワーリフティングにまたも優勝!日本記録更新は逃すが世界大会を視野に猛練習中。
- 「練習はキツイかって?なーに軽いモンよ」山田君座布団1枚!
- 兜木吾朗さん
- ゴロ氏、野村ギン氏に続きチュニジアのユージ氏を襲う。
- ゴ氏「チュニジアはいまが買いどきです」ユ氏「お申し込みはお早めに」
- 山田正吾さん(故人・元クラブ会員)
- 2月27日のNHK「プロジェクトX」で、東芝営業員時代に電気釜発明の担当者としての活躍が紹介される。同氏は第6回、第7回野尻学荘に本部リーダー(事務主任)として参加、クラブが出来てからは会員に。1916年生まれ、1998年ご逝去。