「第68回 野尻学荘だより」

No.68−07

発信日:2003/08/20(Wed) 22:17




今日の野尻学荘は、久しぶりに爽やかな日の出とともに目を覚ましました。

昨日までジクジクと続いていた雨や夕方からキャンプ場をスッポリと包んでいた濃い霧も今朝はすっかり晴れ上がり、朝食が済むころにはしばらく音を潜めていた蝉たちも一斉に元気一杯に鳴き始めて、今日は朝からすばらしい一日が始まりました。
夏らしい好天に恵まれた野尻湖での最後の1日は、いつもより時間が早く流れていったような気がします。ボーイズの笑顔も旺盛な食欲も尻上がり、というニュースをお伝えできることは喜ばしいかぎりです。

蝉時雨のグリーンチャペルで守られた朝の礼拝では、野尻学荘で学んだよい経験をただ単に知識や思い出としてしまい込んでしまわず、それぞれの家に帰ってからも毎日の生活の中で「学荘の特命全権大使」として実際に活かしてみよう、というチャプレンの励ましのメッセージを、ボーイズたちは真剣に聞いてくれました。

15日間のキャンプを通して行われた午前中の実修も今日が全7回の仕上げとなり、夫々最後の仕上げに打ち込んだ後、各指導リーダーから修了証を受け取りました。午後の時間はロング・フリータイムとなり、ボーイズはヨットレースに参加したり、桐久保工房(野尻学荘に隣接する殖栗荘長宅の工作室)で作品の仕上げに打ち込んだり、メインホールで楽器の練習をしたり、プールで水しぶきを上げたりと、思い思いに野尻湖畔での一日を楽しんでいました。

ティーンエイジの少年たちが共に過ごす野尻学荘は、汗臭い野蛮なキャンプではなかろうか、と思われる方があるかも知れませんね。たしかに野尻学荘には少年たちのキャンプらしい実にエネルギッシュな一面がありますが、今日の夕食ばかりはだれもが立派な若きジェントルマンでした。
野の花と糊のきいた白いテーブルクロスに飾られたテーブルに盛装して着いた晩餐会は、殖栗荘長の感謝の祈りに続いてフルコースのディナーが始まり、一人ずつが2週間の生活を振り返って30秒のテーブルスピーチを披露しながらキッチン心づくしの料理を質・量ともに満喫しました。食後はトミさん(野尻学荘音楽監督・冨岡正男氏)作のオペラ「猿カニ合戦」をリーダーたちが配役して演じ、名演技珍演技の続出に一同抱腹絶倒! 野尻学荘の愉快な夜は更けていきました。

2週間にわたる野尻学荘の最後の晩は、閉荘式でしめくくられました。ボーイズ代表の久保田博登君(中3)が来年のキャンパーへのメッセージを読んで荘長に手渡した後、殖栗荘長が「光に歩めよ、若き友よ。限りなき成長こそ汝らが日々の祈りなれ」の祝福・派遣の言葉と共に、一人一人のキャンパーの持つ松明に火を移していくと、夜のファイヤープレスは徐々に煌々と輝く小さな光の群れに満たされていきます。
「これでキャンプが終わりなんだ」という寂しい感傷ではなく、「この友情の火を心に灯してこれから始まる毎日の生活を力一杯生きて行こう。そして来年、また一回り大きく成長して野尻学荘に戻ってこよう!」という希望に満ちた決意が静かに心に納まっていく。そんな厳粛なセレモニーは、讃美歌「光に歩めよ」に送られてボーイズが各キャビンに松明の火を持ち帰って終了しました。夜の森に散っていくボーイズの持つ光の列を、プログラム・リーダーたちがファイヤープレスから最後まで無言で暖かく見守っていました。

明日21日(木)は、朝食後2週間生活したキャビンやパブリック・スペースを次のキャンパーたちのためにしっかり清掃して、迎えの遊覧船で対岸に渡り、バスで一路東京へと向かいます。山手センターでの解散は午後4時を予定していますが、途中の道路状況で若干の前後があるかも知れません。到着時間のお問い合わせは山手センター:(03)3202ー0323 に電話でご確認ください。

さて、ご愛読いただきました第68回野尻学荘だよリも、今号で最終回となります。今年も野尻学荘を覚えてお祈りくださり、また様々な形でお支えくださったことにキャンプ・スタッフを代表して心からお礼を申し上げ最終号を閉じさせていただきます。
また来年、体も心もひと回り成長したボーイズ諸君との再会を、リーダー・スタッフ一同心待ちにしています。

野尻学荘より、主にあってご平安をお祈り申し上げます。では、ごきげんよう!

学荘便り68_7

(8月20日・チャプレン・日下部 拓)

写真は閉荘式での友情の火の分火


注記:この「野尻学荘だより」は会期中野尻学荘現地から直接BBSにお送りしたものを再編集しました。



Return野尻学荘だよりINDEXに戻る
Returnキツツキ通信に戻る