-1- 第342号 | 平成14年3月12日 |
「ダイヤモンドのように小さくてもキラッと輝く大学に」
−−短大の今後のあり方−−
東京文化短期大学副学長 佐藤泰正
本学は周知のように大正デモクラシーの発展に指導的役割を果たし、我国の文化生活運動を展開した森本厚吉博士によって設立された。昭和2年に東京・本郷に女子文化高等学院を,翌年,昭和3年には女子経済専門学校を開設した。昭和25年には東京文化短期大学が設立されたのである。その間,幼稚園,小学校,中学校,高等学校,医学技術専門学校を設立し、6つの教育機関をもつ学園として、社会の発展に役立つ人材を世に送ってきた。その数は2万5千人に及んでいる。また、建学の理念として、森本博士は3Hの精神、働く頭(Head)、勤しむもろ手(Hands)、広き心(Heart)の実践を創立精神の象徴とした。この3Hの精神は創立以来、連綿として受け継がれ、今後も、受け継がれていかなければならない。むしろ、この精神は後述するように、新しい時代にも必要不可欠のものである。
戦後、我国は文化国家、平和国家、福祉国家を目指し、その実現を図ってきた。国内総生産も世界第二位を誇り、経済的にも目ざましい発展を遂げてきた。戦後の我国の文化、経済の発展は当然のこととして、教育面の発展に結びつくものであり、我国の大学も年を追うごとにその数も増し、発展の一途をたどってきた。戦後のベビーブームや高学歴化ということに起因することは言うまでもない。国民の文化的水準の向上という面からも望ましいことである。
しかしながら、現在、我国は大きな経済的不安、経済的危機にみまわれ、曲がり角に立たされている。大学についても同様のことがいえる。ベビーブームも去り,少子化時代を迎えて、深刻さを増している。こうしたなかで、短大が今後、更なる発展を遂げていくためにどのようにあったらよいか。まず、第一は魅力のある大学にすることである。高校生が進学したくなるような、父母達が子どもを入学させたいと考えるような大学にすることである。幸いにしてわが短大はすでに、かなりの面で高校生や父母たちの要求を満たしたものとなっていることも事実である。
すでに、わが大学は森本博士の3Hの精神の実現に向かって進んでいる。戦後、我国は経済的発展を遂げ,「ものの豊かさ」は十分にみたされている。しかし,「心の豊かさ」は十分に満たされていない。3Hの一つ心の豊かさこそがこれからの教育にとって重要な課題である。3Hの一つに頭脳の問題があるが,これからの時代は単なる記憶力だけでなく、問題解決能力を持った人間を育てることが必要になる。いつ,どんな問題に出会っても、それを解決できる能力を身につけた人材を育てることである。そして、3Hの一つ「手」、これこそ技術の問題である。しっかりした専門的技術を身につけた人材を送り出していくことこそが本学の使命である。こうした3Hの精神は大学の今後の発展のために更なる充実が求められる。
世の中は、時々刻々に変化していく。こうした変化に大学は対応していかなければならない。高齢化社会、情報化社会、国際化社会といわれる今日それらへの対応を常に考える必要がある。そして、未来に開かれた大学、社会に開かれた大学を常に描きながら大学の運営を考えなければならない。
幸いにして、本学は入学定員も少なく、少人数の教育を行うことができる。一人ひとりに行きとどいた教育ができる。外国語教育、情報処理教育、セミナー、実習、演習などの教育は少人数クラスの特色を生かすことができる。今後もこの方針は重視していく。そして、学生の進路にあった教育が何より大事である。また、自己評価委員会を活性化して常に未来を念頭におきながら進んでいくことが肝要である。「ダイヤモンドのように、小さくてもキラッと輝く大学」でありたいと考えている。
ホームヘルパー二級養成研修
去る二月二十二日に東京都知事から本学園が「東京都訪問介護員養成研修事業者」(二級課程・通学形式)として指定を受けました。その後、三月六日に東京都福祉人材開発センター所長から、本学園の研修事業が承認されました。これにより、東京文化短期大学で今年の八月から来年三月までの期間にホームヘルパー二級の研修授業を始めることになります。
ホームヘルパー二級の研修は講義。演習および実習からなり、「福祉理念とケアサービスの意義」、「介護概念」などの講義と演習は本短期大学の教室や実習室で行われ、介護実習などは学外の施設などにおいて行われます。
役員人事
〜略〜