-5- 第342号  TokyuBunka Times  平成14年3月10日

医学技術専門学校

慈恵大学病院での臨地実習と就職内定を戴いて

3年 中馬奈津子

中馬奈津子

 卒業を間近に控えた今、この三年間の学生生活を振り返ってみると沢山の出来事が思い返されます。色々の行事での友人達のと楽しい思い出もあれば、実習・レポート・試験など苦労したことも沢山ありました。忙しい毎日をこなしてゆくのにいっぱいだと思っていたことが、積み重ねとなり大切な基礎作りになったいた事に気が付きます。
 学生生活での一番大きな出来事に、臨地実習がありました。医療の現場に入るという事で、学校とは全く違った環境での勉強となり、大変な事も多くありました。慌ただしく動く検査室の中では、積極的に学んでいこうとしなければ取り残されてしまう事もあり、学校とは全く違う緊張感がありました。学生の気持ちではなく、社会人としての気持ちで取り組むことが必要となり、そんなことから態度や言葉遣いなど社会人としてのマナーもしっかり身に付きました。その他にも、技師の方々の医療人としての姿勢にも心を打たれ、学校では学ぶことの出来ない事を沢山学ばせて頂きました。この半年間はいろいろな意味で大変でしたが、それを乗り越えることは、医療人となっていく上で大きな一歩となったと思います。
 就職につては私の場合、幸運にも臨地実習先の病院から内定を頂くことができました。実習中にいただいた様々なご指導が大きく役立ったのだと思っています。
 臨床検査技師の資格を取得する為、この学校へ入学し、三年間出来る限りの努力を続けてきました。最初に目標を立て、それに向かって行くのですが、たどりつけない事が何度もありました。しかし、そのたびに新たな目標を立て、それに向かって行くことでここまで来れたのだと思います。これだけやったと思えることが自分の力となり自信にもつながりました。
 四月からは私の夢であった臨床検査技師として、実際の仕事につける事に大きな喜びを感じます。夢が叶ったことを終わりとせず、新たなスタートとして、この学校で学んだことを土台に病んでいる患者様の為の、医療を支えていける人材に成長して行きたいと思います。
 最後に、三年間あたたかく、大きな力となり支えてくださった多くの先生方・両親へ、この場を借りて感謝の気持ちを伝えさせていただきたいと思います。


オーストラリアの女性検査技師・佐藤さんの歓迎会から

2年  橋本久美子

 去年の三月、オーストラリア研修旅行に参加しました。シドニーでプリンスオブウェールズ病院の検査室見学の折りに、唯一の日本人検査技師である佐藤文世さんにお会いしました。病院は広くて大勢の人が働いていました。業務中であったにもかかわらず、皆さんとても感じ良く接して下さいました。窮屈な感じが全く無く、窓の外は日本とは明らかに違う大きな空が広がっており、こんなに良い環境で働いている佐藤さんをとても羨ましく思いました。その佐藤さんが来校されるということで歓迎会を2月中旬に開催しました。
 前日から準備をして飾り付けし、お花や料理や沢山の写真を並べるとカフェが華やかな雰囲気になりました。ご夫妻が入ってきたとき私はお二人のお顔が良く似ていると思いました。最初に技師である奥様が挨拶をされて、長い間やっているけど今でも自分の仕事がすごく好きだとおっしゃっていたのがとても印象的でした。私もこんな風に思えるようになれたらいいなと、将来がとても楽しみになりました。お二人は外国に住みたいねと言い合っていてオーストラリアに永住を決めたそうです。いつかはと思ってはいてもやはり異国の地で暮らすのは勇気の要ること。それを見事に実現させてしまった行動力には驚きました。歓迎会には大森校長先生や顧問の水岡先生も参加して下さり、終始楽しく和やかでした。佐藤さんが日本の病院に勤めていたときに水岡先生が上司でいらしたそうです。今回の歓迎会を介してみんなが一堂に再会できたことを素晴らしく思います。検査という技術を通じて人のつながりができていくのだな、人との縁は素敵だなと感じました。最後に佐藤さんのご主人様が挨拶をされました。検査技師としての奥様のことを尊敬されている気持ちが伝わってきて、いいご夫婦だなと思いました。
 片付けを終え、帰ろうとしていた時に廊下でまたご夫妻に会いました。私は気になっていたことを聞いてみました。

「オーストラリアに行く前から英語が話せたのですか。」

答えは全く話せなかったとのことです。

「でも日本で英語が苦手だった人のほうが上達は速いかも。」

えっ、じゃあ私もいつかは・・・この時分かったことですが、お二人が似ていると感じたのはお顔ではなく共通する「自由なムード」のようなものでした。そして仲が良く朗らかで、やはりこのお二人には日本よりもオーストラリアの空が似合うと納得しました。そして別れ際にこう言ってくれました。

「オーストラリアに遊びに来るなら連絡してね。」

本当に行っちゃいますよ。いいですか?


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