-4- 第343号 | 平成14年7月5日 |
短期大学 |
AO入試の導入
2002年度入試から、東京文化短期大学でもAO(アドミッション・オフィス)入試を導入しました。AO入試は従来の推薦入試をさらに発展・拡充させたもので、高等学校長からの推薦も求めておらず、ペーパーテストも行いません。そのかわりに多様な資質を持った人が入学機会を得ることができるように時間をかけた面談を行い、日常の活動状況や人物の意欲や能力・適性などを評価します。東京文化短期大学と、短期大学に入りたい人との「お見合い」のようなものです。年度途中からのAO入試導入で受験生が集まるのかという不安もありましたが、二十四名のAO入試受験者があり、最終的に二十名が合格し入学しました。
就職・進学状況
−本年度も栄養士就職率は100%−
短大就職指導室
大学生の就職状況は厳しい「氷河時代」が続き、一方でフリーターや離職率の増加が社会問題となっています。さらに短大では就職難に加え、少子化や短大離れによる定員割れの危機という二重の試練が立ちはだかっています。本学ではこのような現況の中、少しでも多くの「魅力ある短大生」を社会に送るべく教職員が一丸となって新しい時代への架け橋を模索しています。
昨年、本学の嘱託として都立高校の進路状況を調査していただいた元都立高校校長の渡辺先生によると、高校の進路指導の先生達が生徒達に勧める短大の条件ととして、(1)企業への就職率、(2)資格取得、(3)四年制大学への編入進学率、(4)短大の設備、(5)きめ細かな教育・指導、の五点が重要であることが分かりました。中でも「就職」に対する関心が最重要であることを考えると、短大の「入り口」と「出口」を一体のものとして捉え、本学の建学の理念の実践を通して今後も今まで以上に一貫した指導体制を整えていく必要があると思われます。
就職・進学指導に関しては少人数制の有利な点を生かしています。主なポイントは、(1)就職のための講座開講、(2)学生の個性に対応したアドバイス、(3)学生と教員との日ごろのコミュニケーション重視、の三点であり、確実にその実績が数字に現れています。
また、三年前から新入生全員にウェブメールのアドレスを配布し、インターネットを介した社会や企業の情報の取得ができるように指導しています。
本学では栄養士を希望する学生はここ四年間100%の就職率を維持しています。主な就職先としては、川崎市、習志野市、小金井市などの公務員や学校、保育園、給食受託会社、一般企業などに職を得、複数の企業から重複して内定をもらう学生も少なくありません。
栄養士以外では、就職先は事務、販売、製造、サービスなど多方面にわたっていますが、90%を越える就職率を保っています。また、余暇生活相談員やフードスペシャリストの資格なども就職に有利に働いています。主な就職先の一部を挙げると、池下設計、富士ビジネスエキスパーツ、日本住宅建設産業厚生年金基金、日本給食サービス、アペリティフ、澁谷工業、中庄、中栄信用、ファミリーマート、紀の國屋、第一製パン、など幅広く活躍しています。
進学・編入に関しては、毎年十数名から二十名の学生が指定校を含めた四年制大学に編入したり、専攻科へ進学したりしています。本年度の四年制大学の編入先は、昭和女子大学、東京農業大学、女子栄養大学、帝京平成大学、実践女子大学などで、聖徳大学短期大学部などの専攻科も含め、専門学校・各種学校への進学もありました。
家政科英語体は自然体で
理化学研究室 三吉 康彦
若い頃ドイツの大学で研究生活を送っていた時に、体験したことです。ある日みんなでお茶を飲んでいましたが、たまたまその一人が、よちよち歩きで、片言しかしゃべれない一歳ぐらいの息子を連れていました。その彼が何かの用事で部屋を出た時、息子が一人で残されたことに気がついて不安になり、一生懸命父親を捜しながらその辺を歩き回り始めました。
「お父さんはどこ?」とは言えず、ただWO?(英語のwhereに当たります)WO?と不安げに叫んでいます。疑問文なので語尾は上がります。その時私はいくら耳を澄ませても、その言葉がWO?とは聞き取れず、日本語の「どこ?」としか聞こえませんでした。
日本の子供でもそのような状況に置かれたら、「どこ?」と語尾を上げて不安げに叫びながら、その辺を歩き回るに違いありません。同一状況下で自然に発せられる言葉が同一語感を持っているから、ドイツ語も日本語も同じように聞こえたのでしょう。
従って日本の子供が、例えばアメリカで父親を一生懸命捜しながら、「どこ?どこ?」と悲しげに叫んでいたならば、アメリカ人はその言葉の意味を理解することでしょう。言葉の基本的な機能は自分の気持ちを相手に伝えることであり、簡単な言葉ほど基本に近いからです。英語を習ったけど外国人との会話は苦手だと悩んでいる人は、言葉の基本に帰って、自然体で素直に話してみてはどうでしょう。道が開けるかもしれません。もっとも私自身もなかなか自然体になれず、ついつい力んでしまうのが実情ですが。