-1- 第345号  TokyuBunka Times  平成15年3月12日


華道の授業、留学生も参加
華道の授業、留学生も参加




卒業生に向けて
異なる文化の受け入れ

理事長 森本晴生

 学校とは、人が集まり、学び、やがて分かれていくところです。卒業式で歌われる「蛍の光」や「仰げば尊し」では、学んだあとでの別れを歌っています。
 創立者・森本厚吉先生と初代校長・新渡戸稲造先生は、約一世紀前にアメリカをはじめ、各地に出かけて活躍した方々であり、集まりと別れについて、日本で一般に考えられているよりも地理的に広い範囲で考えていたようです。
 国内でも、離れた地域に住む人たちと考え方がかなり違うと感じることがあります。しかし、外国との場合では、国内とは比較にならないほど大きな違いがあります。
 最近のことでは、アフガニスタン、イラク、北朝鮮などの問題では、アメリカとそれぞれの国の見解が歩み寄れないほどの違いがあります。これらに対する、イギリス、フランス、ドイツなどその他の国の対応もまちまちですし、日本の考えもまた違います。
 新渡戸先生が国際連盟の事務次長であったときに、スエーデンとフィンランドの中間にあり、住民はスエーデン語を話すオーランド島の帰属が両国の紛争の元になりました。1921年に新渡戸先生の尽力で、フィンランドに帰属させ、自治権(スエーデン語の維持など)を認め、群島の非軍事化を決めることで解決しました。当時は、関係国間で不満が残っていましたが、80年を経た今日では、すばらしい裁定だったと評価されています。このように、違った考えを認めることは、簡単なことではありません。
 外国文化を理解することは、自国内で外国の文化に接したり、外国に行って生活を見ることによって、できるように思えます。しかし、この理解はかなり表面的であり、違っていることがあります。身近な食べ物の例をあげてみましょう。  サンドイッチは、「フォークなどを使わず、しかも手を汚さないで料理を食べる」ために、トランプ好きのサンドイッチ伯爵が考え出したもので、パンを食べること自体は付随的なものでした。しかし、日本では「パンを食べる」ために料理を挟むものと理解されています。そのせいで、日本のサンドイッチはアメリカのものよりもパンは厚くなっています。
 これは、理解していないと戸惑うことはありますが、大きな問題にはなりません。しかし、せっかくの気持ちを相手に無視されたように感じて、感情問題となり、不快感が増大して大問題となっていくこともあります。
 「相手を受け入れる」ということは簡単ですが、実行はなかなか難しいものです。違った文化を正しく理解することは簡単ではありません。「とても理解できない」と実感することが、受け入れることになるようです。
 学校を卒業して、これまでと違う社会に出たときも同じことがいえます。生まれ育った環境が違う人が出会うのですから、違いを認めることが、相手を理解するための第一歩であり、自分を認めてもらうためにも必要なことです。
 卒業生の皆さんが、元気に新しい道を進むことを心から祈ってやみません。





表彰


○中学高校
鈴木泰教諭は、11月1日財団法人東京都中野区教育振興会から教育功労賞の表彰を受けました。

○学園教職員永年勤続表彰
今年度は次の二名の方が該当され、去る10月16日感謝状と記念品が贈呈されました。
事務課(小学校)     青木弥生
給食課     足立一子


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