-2- 第345号  TokyuBunka Times  平成15年3月12日

特集

希望の未来へ

--私たちが目指す福祉教育---

福祉活動の実践の基盤は
『福祉のこころ』

副学長 佐藤泰正

現在、福祉の重要性、必要性が叫ばれ、さまざまな形で福祉活動が実践されている。福祉活動を行うにあたって、まず大切なことは、「福祉のこころ」である。
 福祉のこころ」をもたない活動や実践『魂のはいらない仏様』と同じである。
 福祉のこころの第一は『生命を専重する精神』である。人の命の大切さ考えることから始まる。第二は『思いやりのこころ』である。他人を思いやる心は公共の奉仕、社会連帯精神の基礎のなるもので、人類にとって大事なことである。
 同情、共感ともいえる行為は、人間のみがもつ感情といえよう。第三は『助け合いの精神』である。互いに助け合う相互扶助の精神は福祉のこころの基礎になる.第四は『自立のこころ』である。人はみな自立して生活をしていかなければならない。他人に迷惑をかけないようにすることである。そうでなくても、人生のある時期は他人の世話にならなければならない。自分で生活できるようにすること、また、他人が自立できるように援助することが福祉の精神のひとつである。
 上述した『福祉の心』はそれこそ、幼いころから子供達の心に植え付けられることが必要であり、幼少時からの福祉教育に負うところが大きい。そして、それが福祉の発展につながるのである。


希望の未来へ

生活福祉専攻教授 嶋田えみ子

 日本は2006年には、老年人口割合が20%を占めるようになります。
 高齢者に対する介護の必要捜は益々高くなってました.寝たきりの老人介護すること」これも大切ですが、それよりも、専門的なケアを提供することで、高齢者が自立出来るようになる介護が重要です。高齢者が受動的なケアの対象から、より能動的な役割が発揮出来るまでが介護の機能だと考えます。そのために、専門的な介護技術を十分に習得することが必須です。
 そしてなによりも、高齢者を好きになること、高齢者に親しみを持つこと、高齢者から学ぶ姿勢を持つことが最も大切だと思います。


私達が目指す福祉教育

生活福祉助専攻教授 斉藤和良

 初めまして、本年四月より生活福祉専攻教員に就任する斉藤和良と申します。私が福祉に直接関わるようになったのは、大学院在学中の昭和56年10月のことです。四谷にある日本盲人職能開発センターに指導員として勤務したのが福祉施設での初めての経験となります。以来、20年間にわたり、専門学校を中心に障害者心理や障害者福祉論など障害者関連の科目を担当してきました。抱負として、介護福祉士としての専門的知識を身に付けた、他人の痛みがわかる、思いやりのある、質の高い人材を育成したいと考えておりますので、宜しくお願い致します。

地域密着型の介護専門職

社会学教授 大出春江

 全国で毎年約24,000人の新しい介護福祉士が誕生する中で「東京文化の介護福祉士」は600分の一。
 国家資格としての制度化からすでに16年近く経過し、後発でしかも少人数。では、東京文化の介護福祉士の特徴はなんでしょう。
 栄養士養成施設校としての本学の永年の経験は、地域密着型の介護福祉士養成に役立つでしょう。また食を中核とした生活についての知恵と、人間関係に対する感受性の涵養は、少人数だからこそ行き届いた教育によって可能だと思われます。心と技を併せもつ介護福祉士を送り出すことは、地域に対する学校の責任だと考えます。


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生活福祉専攻の設置

短大教務部長 岩切信一郎

 生活福祉専攻、即ち「介護福祉士」養成施設校設置に関しての準備作業に入ったのは平成十三年夏のことであった。受験生の資格志向のニーズに対応できて、本学の教育が生かされる資格、しかも国家資格レベルの免許導入という難題にして緊急課題であった。そこで着目したのが「福祉・介護」であり、当初はホームヘルパー二級の導入で動き始めた。しかし検討を重ねる中から、介護福祉士の資格導入の可能性が浮かび上がった。
 だが提出書類作りはなまやさしいことでは無かった。文部科学省の「大学設置基準」、厚生労働省の「社会福祉士及び介護福祉士法」に則った書類作成、それに伴う関係官庁との折衝が必要であったからである。中でも実習先の確保は苦労であった。だが、今に思えば良い勉強になった。それは訪問先の様々な介護施設を見学出来て、介護職員の方々から現状、現実を直接お聞きする機会を得たことであった。
 介護においても「食の東京文化」をアピールできそうだと確信したのも、こうした方々のアドバイスからであった。高齢者や障害者への日常生活における様々な援助・介護、介護指導。高齢社会に向けて、本学の新たなチャレンジが始まる。


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