-4- 第345号 | 平成15年3月12日 |
短期大学 |
花開かせる人生を
内藤道子
今春東京文化短大を巣立たれる皆さま、ご卒業おめでとうございます。卒業して行くにあたって、短大で学んだことが今後の職業生活や人生に役立つように、そして皆さん一人ひとりが幸せな人生を歩んでいけるようにと願っています。 幸せな人生について述べるのはむずかしいのですが、たとえ小さな目立たない野の花であっても、つぼみで終わることなく精一杯花開くことではないでしょうか。自分の能力を精一杯開花させるのは生やさしいものではなく、弛まぬ努力と学ぶ姿勢を維持し続けることが要求されるでしょう。 世界的に有名なウィーン国立歌劇場の音楽監督である小澤征爾氏は、現在でも早朝に起床し、毎日午前中は譜面を読んで勉強なさるそうです。同じ話を今から約25年前にも聞いたことがあります。その時の話によると、ヨーロッパでの休暇中、毎日早朝から午前中は読譜に集中。それもオペラを暗譜しているとのこと。オペラは長時間なので、暗譜する指揮者はいないことを訊ねられると、「暗譜した方がうまく指揮できる」と答えられたそうです。 その当時、四半世紀後に小澤氏が国立歌劇場の指揮者になるなんて誰が予測できたでしょうか?でも弛まぬ情熱と勉強と努力を今日まで続けてきたその生き方を知ると、人並みならぬ才能に恵まれたのはもちろん、自らの惜しまぬ努力が切り拓いた道だと思いませんか? 私も精一杯花開かせられる人生にしたいものだと思っています。皆さんもこれからの人生、どうぞ美しい花を開かせてください。
卒業にあたり
学友会会長・吉田智亜貴
入学にあたり、富山から胸を弾ませて上京してきました。あれからもう2年になろうとしています。新しい土地での短大生活は正直のところ不安でいっぱいでした。しかし、入学と共にそんな気持ちは吹き飛んでしまいました。人間環境コースという少人数制の中でクラス皆が親友といった間柄、同じ高校から進学して来たと思われるほどにまとまっていました。
学生生活の中で最も注目していたのが「学友会」の活動でした。新入生歓迎会での先輩方の優しさ、熱心さ、行動力に魅了されたのでした。何とか活動に参加したいと思いながら、いよいよ学友会メンバーに加えて頂いた。その時の喜びは忘れません。ところが、思いもよらない会長に任命された時には、自信はなく、果たしてできるものかと悩みました。そんな中でも「私たちがサポートするから大丈夫」の一言には勇気付けられました。
活動の中では、初めての参加で「東京文化パワー」を区民の方々に知って貰った「中野祭」、学園祭での屋台村、フリーマーケットの実現、イベントでは体育館が人であふれました。どれもこれも、皆の協力なしでは実現できなかったものばかりでした。やはりやって良かったという充実感を感じながら、多くの良きスタッフに恵まれたことへの感謝でいっぱいです。
私たちがコース制の最後の卒業生となります。4月からは男女共学になり、生活福祉専攻も始まるとのこと。新入生を迎えての新たなパワーでこれまで以上に学友会活動を盛り立てていって下さい。よろしくお願いします。
学友会リーダーストレーニングキャンプ
1980年代半ばから続いている学友会恒例のこのキャンプ。今年も学友会新旧執行部の引継と研修を兼ねて2月10日〜11日の一泊二日で行いました。27名の学生に教員3名も同行し、盛況の内に目的を達成し終了しました。
家政科卒業生のことをもっと教えてください。
教授 大出春江
10月16日は、東京文化の創立記念日である。実はこの日が初代校長の新渡戸稲造博士のご命日に因んで記念日とされたということを、わたしはつい最近知った。
1952(昭和27年)10月号東京文化タイムスに当時の副学長であった森本武也先生が「新渡戸先生の想い出」の中で書いていらしたからである。10月16日は日本時間のこと。カナダ時間では10月15日に、新渡戸博士はビクトリア市にて71歳で亡くなられた。
昨年の本学創立記念日に、日本初女性弁護士の中田正子さんが10月15日に91歳で亡くなられたことを、わたしは新聞朝刊で知った。
驚いたのは、中田さんが本学前身の女子経済専門学校卒業生だったことである。新聞には女子経済専門学校在学中に恩師新渡戸稲造や我妻栄の薫陶を受け、法律の道を志したとあった。我妻栄は当時、東京大学法学部の教授であり、女子経済専門学校の民法の講義も担当されていたようだ。
その後も中田さんのことは「『女弱き時代』の救世主」(読売新聞)「法で弱者守る姿勢 半世紀」といった見出しで、新聞はその人となりを大きく紹介していた。
1883年弁護士法が施行されてから女性にも受験資格が認められたのは50年後の1933年だった。中田さんが明治大学在学中に高等試験司法科試験(現司法試験)に合格したのは1938年だそうだ。女性弁護士第1号が本学出身者だったということに改めて感銘を受けた。
社会で活躍する本学卒業生のことがどうしてもっと知られないのだろうか。専門職、非専門職を問わず、地道な活動をしている卒業生について是非、知りたいと思う。