-7- 第350号  TokyuBunka Times  平成16年12月 日

ルネッサンス80プロジェクト
小学校

笑顔がいっぱい
「新渡戸祭」を終えて

小学校 大場貴子

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▲小学校の中庭で風船を細工しているアンドリューさん
 新渡戸祭の当日はよく晴れて、暖かい穏やかな日になりましたので、学校を訪ねて下さるお客さまの数も多かった様です。

 小学校の新渡戸祭は、内容がが充実しています。今年の児童の作品はユニークなものが目を引きました。特に、中庭に貼られたビニール袋で作ったバルーンは運動会の万国旗のように会場の雰囲気を盛り上げました。そのほか絵画、焼き物、工作、習字、家庭科、手芸部などの展示が並びました。
 二日の児童集会ではクイズ大会があり、商品をゲットしようと各学年から出た代表が競い合いました。その後、学園内を案内していると、中高生や短大生が

「後でおいでね。待ってるね!」

と声をかけてくれるので、すっかりその気になって自由行動になったとたんに小学校から学園へ向かった子どもたち。
 三日は、父母会の催事があるので、決められた時刻より早く来て順番とりをしようとする子が大勢いました。これでもかと言うくらいに子ども達の欲しがるものが並ぶキッズバザー。ちょっとレトロな輪投げや射的のゲーム。体力測定をするとあって、みんな本気で取り組んで筋肉痛あり「ハッスルマッスル」。優雅にお茶を飲みながら映画鑑賞できる喫茶室。
 中庭では、マジックのアンドリューさんが巧みに風船を細工してくれたり、講堂でのタジマジックさんのマジックに心を奪われたりしました。そして、恒例になりつつあるフィナーレは、有志の先生と参加者全員の運動会の整理体操。どれをとっても父母会のみんなで楽しみたいという思いが伝わった企画の数々。みんなの笑顔が新潟へも届くようにと善意の義援金も集まりました。こうして二日間の「新渡戸祭」が閉幕しました。

こども こども

「武美さん、緑さんありがとう」


小学校長・幼稚園長 福田景三郎



 今年も十一月の声を聞くと共に楽しい学園「新渡戸祭」が始まりました。小学校、幼稚園は、お父様やお母様、お家の方やお客様でいっぱい。その間を紺の制服が笑顔で走り回っています。子ども達もこの日をどれほど待ち望んでいたことでしょう。おこづかいを入れたお財布をしっかりにぎりしめてお弁当やお菓子、おいしい物をいっぱい食べて、たくさんの催し物や展示を見てゲームをして楽しい二日間となりました。これも中里会長さんを初めとする父母会の皆様が、四月から心を込めて用意してくださったおかげです。本当にありがとうございました。学園祭の興奮もようやくおさまった九日の出来事です。3年前まで図工科を担当してくださっていた森田先生が突然校長室へ飛び込んでいらっしゃいました。
 「先生、先生、私お手紙いただいちゃって、すぐそれをお見せしたくてとんでまいりました」
 封筒には、「高円寺の愛ちゃんより」とかいてありました。
 「前略、先日私共の娘、愛を無事保護して下さり本当に有り難うございました。もし、あの時東京文化の小学校の生徒さんに声を掛けて頂かなかったら、娘は、赤信号の青梅街道を悠々と渡っていたのかと思うと胸が締め付けられる思いです。

(中略)

本当に感謝の気持ちでいっぱいです。お名前はわかりませんが小学校の生徒さん達にも心から感謝しておりますとお伝えくださいませ。本当に有難うございました。

かしこ」
 私は、何か熱いものがこみあげてきて手紙を持ったまま立ち尽くしてしまいました。
「愛ちゃん無事で良かった。文小の子供達ってすごいな。」これは、三日の出来事ですから、もう約一週間経っています。どの先生からも子供達からも学園祭の日にこんなことがあったとは聞いていません。その子供達はもう忘れているかも知れません。さっそく翌日のグラウンド朝礼のとき、私は全校児童にこのお手紙のことを話しました。「すばらしいことができましたね。『まわりの人を大切に』っていうことが分かっていること、とても大事なことです。それ以上に本当に素晴らしいことは、その分かっていることを実行できたことです。だれか心当たりのある人はいませんか。」

 四年生の列の中でびっくりした顔が二つお互いに「あーあの時のことね。」という感じで見合っていました。それから、手が二本一寸ずつ上がって来ました。武美さんと緑さんの二人でした。号令代の上に乗ってもらった二人は、何だかはずかしそうでした。笑顔がすてきでした。みんなで拍手して愛ちゃんが無事だったことと二人の友だちのあったかさを共に喜びました。
 秋の終わりのグラウンドでしたが、みんな何となくほのかにあったかくなりました。二人は当たり前のことを当たり前にしたという思いでしょう。だから、誰に言うこともなく忘れていたんだと思います。えらいなあ。こういう人を本当に偉い人というのだと思います。今回も子供たちに共に生きることの意味とその大切さをおしえてもらいました。
 武美さん、緑さんありがとう。


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