今回は、野尻学荘の指導にあたっているリーダー達のことについて少々ご紹介いたしましょう。
「野尻学荘」の名付け親は創設者の小林弥太郎先生(1888〜1969)ですが、まなびやの意味からから「学」を、そして簡素な家の意味から「荘」の二文字を組み合わせ、命名したと伝えられています。
この名前に表されるように、野尻学荘は「教育キャンプ」として毎年開催されてきました。
教育キャンプと言っても、参加者と指導者の間には学校や塾のように生徒と先生という関係があるわけではありません。
その代わりボーイズとリーダーという、他ではちょっとないような関係がある訳です。
この関係は強いて言えば、ボーイズにとってのリーダーは兄貴のような時に友人のような、またスタッフは父親のような存在に近いかも知れません。
ボーイズ同士でも、中学1年生から高校3年生までが生活を共にする中からよい関係が出来ます。
これはよく見かけるような先輩・後輩の上下関係や力関係とはおよそ別の、平等の関係なのです。
野尻学荘の教育効果を「里芋の芋洗い」と表現した人がいました。
仲間同士が磨き合う、切磋琢磨の状況を言っているのです。
また、ほかの人は学荘を「ぬかみその様だ」と言います。
一人ひとりがそれぞれの持ち味を生かしながらも、互いによい影響を与え合い、よりよい味になっていくということなのです。
いずれにしても野尻学荘の教育機能は、ボーイズ達の相互作用、それを注意深く導き助言を与えるリーダー達、そのような生活を包み込んで営まれているスタッフも含めた学荘社会の規範、によって成り立っています。
その中でも大切なのは、ボーイズたちに最も身近なリーダー達の存在です。
今年の野尻学荘リーダーは(除スタッフ)キャビンカウンセラーが5名、プログラムリーダーが7名の計12名です。
例年1年目のリーダーはプログラムリーダーとなり、全般的な指導経験を積んでから2年目以降にキャビンカウンセラーになります。
今年は5名がこの様な新人のリーダーです。
野尻学荘リーダーの約9割はボーイズ出身ですが、リーダーから学荘参加する者もいます。
ボーイズ出身者でも自動的にリーダーとなれる訳ではありません。
志願し、スタッフの面接を受け、定められた訓練コースを受けなければなりません。
スタッフ・リーダーは全て無償のボランテイア活動です。
リーダー会は全員年間を通して、準備、訓練、計画立案、現地訓練、下見登山、実施、評価、研究会と活動があります。
熱意をもってこれらを続けられた者のみがリーダーとして参加しています。
学荘が好き、ボーイズが好き、キャンプが好き・・・
自らも学荘生活を楽しみながらボーイズを指導しているリーダー達は、その中で自らも成長させられていることを知っています。
やがて社会人になったとき、ここでのリーダー経験は本人の貴重な財産となるに違いありません。
やがて社会の、世界のリーダーになって行くのです。
野尻学荘とはボーイズからリーダーそしてスタッフに至るまでの、息の長い「リーダー・トレーニング」の営みなのです。
今朝は涼しく、毛布1枚では寒いくらいです。
遠泳を明日に控えて諸準備も始まりました。
全員無事に、学荘での生活を心ゆくまで楽しみ励んでいますのでご安心ください。
荘長 殖栗信夫