「第65回 野尻学荘だより」 第8号


[No.08] 発信日:08/19/2000
長野県上水内郡信濃町桐久保 東京YMCA野尻キャンプ


 8月18日午前中には遠泳が行われました。
当日の気象データーは、最高気温25℃湿度76%気圧999Hpa、弱い北風で天気は晴れでした。
この日はプログラムを一部変更して、6時起床、6時半旗上げ・礼拝、日下部チャプレンからのメッセージは「心のありか」、7時朝食、8時半キツツキ前に集合し遠泳のオリエンテーション、9時遊覧船に乗船、12分琵琶島到着、27分隊列スタート、10時40分中間ポイント通過、11時10分桐久保湾内に、35分着荘、45分終了宣言。

泳者12バディ(24名)とペースメイカーのうち、24名が完泳しました。



 僕は中学生、名前は久保桐はじめという。
野尻学荘というキャンプの名前を初めて耳にして、まだ覚える前に、なんと3600mの遠泳があると言われた。
それはとても判りやすい「拒否反応」のはじまりだった。
部活の練習があるとか、夏季講習があるとか、いつもなら通じる言い訳も今回は不思議に全く通じない。
しぶしぶ7月の打ち合わせ会に行った。
3600mはどうやら本当の様で、何メートル泳いだことがあるかと聞かれた。

学荘が始まると案の定、泳ぎが上手ではないボーイズ向けの水泳実修をとらされる事になった。
足のキックとか伸びとかを教えられて、底の見えないプールが少しだけ怖くなくなった。
遠泳の朝のチャプレンの話は、大切なもののあるところにこそ心があるという話だったけど、どこまで泳げるかはわからない。
もっともっとゆっくりと進めば良いのに、あっという間に島に着いてしまった。

 桟橋から泳ぎ始める場所に移動しても、気分がすぐれることはない。
同じキャビンの完泳した事ある奴や高校生は平気なのか、冗談を言い合っている。
体操が終わって、「チクサクコール」をした。
リーダーたちは「がんばろう」とか「行くぞー」とか声を掛けてくれた。
スタートの場所はずっと浅くて、波がなかった。
泳ぎ始めたというよりも、フワっと浮いた様な感じだった。
不思議に不安とか怖いとは思わなかった。
一緒に泳いでいるリーダーたちはしきりに、「隣と揃って泳げ」とか「伸びろ」と言っている。
あんまり意識しないで、蹴って息をして伸びているせいか、なんとなく楽な気がした。
泳ぎ出す前には苦しくなったら、ショートといって休もうと考えていたけど、気が付いたら遠くに学荘の浮き桟橋が見えた。

先頭のリーダーが「もう少しで着荘します」と言った時、完泳出来そうだと初めて思った。
その後は雲の上を漂っている様だった。
陸に上がってマザーからお汁粉をもらって、飲みながらスタートした方向を見ていたらとても不思議な感じだった。
だけど、心は大切なそこにあった事だけは、僕的にはっきりしていてとても嬉しかった。
大げさに抱きついてよかった言ってくれたリーダーがいたけれど、気分が良かった。

その晩はスタンツ(キャビンごとの寸劇)で、優勝はできなかったけど、高校生の出し物はすごいなと思った。
賞品にもらったお菓子はキャビンの皆で食べた。
明日は最後のスタンダードプログラムなので、楽しかったことをもう一度やってみようと思っている。
夜の「たぬき狩」も楽しみだ。

プログラムディレクター 大倉健宏
※架空のボーイズのストーリーを創作しました。



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