今日は学荘の十一日目、今日までに主日礼拝が一度あって、お隣の東洋英和キャンプサイトからの快泳があって、アウティングも無事に終わりました。
今年の学荘は前半に少々雨が降り、後半には快晴の毎日が続いています。
アウティングを経た後の学荘は、時間が速く流れて行くようです。
私も全く同感なのですが、今しばらくは、この事を認めたくない心境です。
お迎えした数多くのゲストの皆様に、「学荘の一日はいかがですか」と一様にお尋ねしました。
「ゆっくりしていて、落ち着いていますね」、「少年たちの表情がいきいきしていますね」とか「三十年、四十年、五十年前と同じ空気が流れていますね」などいろいろなお言葉を頂きました。
私自身はまだまだ、この問いに対する答えを見つけておりません。
正確には、それはもう少し待ってくださいという気持ちです。
ただそれでも、一年間のうちの大切な大切なたった十五日が今少しずつ、憎らしいぐらい正確に、砂時計のように流れ落ちようとしています。
今は何ともいえないほどもどかしく、大事に大事に過ごしたいと言う気持ちでしょうか。
誰かが食前の感謝の祈りの中で、「今日は最後の〜でした」何て言ってみろ、決して「アーメン」とは言わないぞ、と密かな決意までしたくなります。
これらは、案外多くのボーイズやリーダーたちの正直な心境なのかも知れません。
また、気のせいかここ桐久保では優しい言葉が増えた様な気がしています。
最近、映画のサウンドトラックには、シーンを飾った多くの音楽だけではなく、ストーリーの上で重要なセリフをも収録するものが多くあります。
イマジネーションの上で、フィルム全体を印象づけるための工夫なのでしょう。
私たちの学荘の毎日においても音楽が溢れ、重要なセリフにも溢れています。
少年たち、そしてリーダーたちも、自分で自分の学荘生活のサウンドトラックを、心のなかで丹念に編集しているのでしょう。
今回で66回目を数える桐久保での生活、そして永い時代と数多くの世代を経て、野尻学荘が記しつづけてきた「大きなストーリー」は、ちょうど今、その一ページを書き加えようとしています。
今日の午後はキャビンタイムとフリータイム、夕刻には、隠れたリーダーを捜すたぬき狩りが予定されています。
来週の半ばからの台風の影響も大した事が無いとよいのですが。
皆元気に、楽しい生活を過ごしています。
(8月18日・プログラムディレクター 大倉健宏)
注記:この「野尻学荘だより」は会期中野尻学荘現地から直接BBSにお送りしたものを再編集しました。