「第66回 野尻学荘だより」

No.66−6

発信日:2001/08/21(Tue) 06:02




「以上の状況から判断して遠泳を延期し、カッター、エンジンボートに分乗して全員帰荘します。」
遠泳前日の天候は快晴、水温26℃でした。
前日同時刻の下見では、南風が強く向かい風で隊列が進入してからなかなか進まないのではと心配でした。

気象台に電話をして、現在吹いている風は接近する台風の影響ではなく局地的なものであることを確認。
直前の朝食の食卓では、不安な表情がいくつも見受けられ、「50メートルでリタイヤしてもいいよね」と私に尋ねるボーイズもいました。

朝食後の皿洗いは、高校生キャビン。
サマータイム8時30分には「ざざんぶ」のチャイムが響き、キャンプサイト中央階段をボーイズがキツツキハウスを目指して、下ってきました。
快泳の時と同様に、泳者間の間隔、ショートの仕方、等を説明しました。
お島までの遊覧船の乗船時刻はサマータイムの9時でしたが、彼方から近づく第三のじりこ丸を水場のたたきで待ちました。
船内では高校生がリードして、「山々高く」を「ソレー!」のかけ声で何度も繰り返し声高に歌っていました。

学荘の遠泳・快泳の実施基準のなかに、風が強く白波が立った場合には実施を中止するという規定があります。
遊覧船がお島に近づく頃には白波が増していました。
隊列進入地点に到着すると白波はいっそう増して、桟橋の吹き流しは真横にゆれています。
とりあえず、9時45分まで待機をしましたが、一向に回復する気配はありません。
泳者・伴泳者・伴ボートに集まってもらい、「本日は遠泳を中止して、帰荘します」と宣言しました。
ボーイズたちは皆一様に神妙な表情でした。

その後はカッターに20名づつ乗船、二度にわけて移動しました。
残りのボーイズ・リーダーはエンジンボートで戻りました。
帰路に空の伴ボートを曳航しましたが、風の強さで進路を維持できない程でした。
結局全員が戻るまで二時間を要しました。

昼食後に全リーダースタッフを招集して検討した結果、天候の悪化が予想されるため翌日への延期を断念して、第66回野尻学荘では遠泳の実施を中止しました。
夕食時にこの決定を知らせました。
ボーイズたちはどんな反応かと心配していましたが、「来年みんなでやろう」という私の呼びかけに、うなずく姿が見られました。

 学荘のリーダー達は秋に評価会、春からは研究会を継続してキャンプに関する研究を続けています。
一昨年の研究会では遠泳・快泳の実施判定基準の明確化をテーマに、議論を重ね、実施判定シートを作成しました。
プログラムディレクターの私が中止の判断をしたのも、これまでの議論の積み重ねの成果です。
学荘のリーダーたちはこのような、作業を毎年続けています。

今はサマータイムの夜11時半過ぎになりました。
先ほどから風はいつもとは異なる様子になりました。
夕方、避難させた学荘の船舶は何事もなく台風の通過に耐えることが出来るでしょう。

今日から、22日の閉荘を待たずに離荘するボーイズやスタッフに餞の言葉をいうことが多くなりました。

残り少ない期間となりましたが、皆が元気で、仲間との時間を大切に、大事に過ごしております。

学荘便り66_6 *水場の風景。

(8月20日・プログラムディレクター 大倉健宏)


注記:この「野尻学荘だより」は会期中野尻学荘現地から直接BBSにお送りしたものを再編集しました。


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