もう私には、当たり前のようにボーイズの姿がある野尻キャンプにすっかり慣れてしまっているようです。
たった一日キャンプサイトからボーイズの姿が見えないだけで、寂しくなってしまうのですから。
中高生のために設置されたこの野尻キャンプが、居残りのスタッフだけになる瞬間が二週間の中で一日だけあります。
ボーイズがグループで協力し野尻学荘以外の場所で過ごす「アウティング」の期間がそれです。
「アウティング」は文字どおり、キャンプサイトの中から一泊だけ飛び出して生活するプログラムです。
生活の単位はグループで、担当するカウンセラーの他に、普段は縁の下の力持ちの役回りをしているプログラムリーダーが同伴します。
アウティングではテントで寝泊まりし、薪を使ったり専用のストーブを使い自分たちで食事を作ります。
中学生は比較的低い山への登山や、カッターや徒歩で対岸のテント場へ行き、それぞれで一日を過ごします。
高校生は、妙高山をピークとする山々を電車やバスを利用しながら登山口まで行き、登山するのです。
「アウティング」の効用は濃密なグループの時間があることです。
ご飯がおいしく炊けなくても、
道々雨に悩まされても、
テントがぎゅうぎゅうで寝苦しくても、
振り返ってみればグループの濃い時間としてみんなの心の中に残っています。
汗だくで学荘にたどり着いてキッチンさんの作った食事を頬張る顔。
グループで一緒にシャワーを浴びながら楽しそうに話している声。
一緒に行ったリーダーを眺める目。
当たり前の仕草や行動が、一日前とは違っているのです。
何故でなんでしょうか?本当に不思議です。
学荘も折り返し地点を過ぎて、野尻学荘が「ガクソー」らしくなってきています。
一日いちにちを噛み締めるように生活するボーイスの姿を、またお知らせしたいと思います。
(リーダーシップディベロップメント・ディレクター 東貴宏
・写真は上陸用の小舟を曳いて、カッターでアウティングにでかける中一キャビン)
注記:この「野尻学荘だより」は会期中野尻学荘現地から直接BBSにお送りしたものを再編集しました。