野尻学荘を特徴づけるプログラムをひとつだけ挙げるとしたら、それは「実修」になるでしょう。
国語辞書では実習となりますが、野尻学荘では伝統的に実修の字をあてて用いています。
それは「為すことによって学ぶ・Learning by doing」という教育の考え方に根ざしているからなのです。
この実修とは体育的、科学的、芸術的など、なるべく多方面の実修種目を用意し、ボーイズ個々の興味に基づいて選択させて、それぞれの専門的な知識や技術を学ぶものです。
それぞれの種目の内容が身に付いて、深められるのは当然ですが、同時に個々の目標を達成していく課程に付随する少年達の全人的な成長こそが、野尻学荘の目的なのです。
しかもボーイズは、そのプロセスを楽しみながら体験するのです。
今年の実修種目は、水泳(基礎的な泳力のないボーイズは必修です)、カヌーとカヤック、ヨット、アーチェリー、野外技術、写真、木工、音楽の8種目です。
このほかカッターとボート、フライングディスク、自然観察も準備されていたのですが残念ながら選択者が少なく、不成立でした。
いずれも2週間(全7回)を通してのカリキュラムが用意されています。
長期キャンプならではの、じっくりとひとつのことを身に付けられるようにと配慮されています。
今年とれなかった種目は、各人の来年以降の目標になります。
ステップバイステップ、限りなき成長なのです。
スタンダードプログラムの日の朝の礼拝が終わると、それぞれの実修集合場所に急ぎます。
今日で5回目を数えた実修で、それぞれのボーイズはずいぶん慣れて、上達してきています。
高校生達は自らがやがてリーダーとなる日を意識して、熱心に学んでいるのかもしれません。
学荘も今日で10日目。
ボーイズはここでの生活をとても楽しんでいる様子です。
中学生の何人かは、起床のチャイムとともに水辺に出て朝靄の中で釣りを楽しんでいます。
今日は、学荘では今年2匹目のうなぎが釣り上げられ、歓声が上がっていました。
ボーイズの保護者や学荘のOBなど、ゲストも多く訪ねて来てくれています。
ここ数日夕立がありましたが、大きく予定を変更することなく過ごしています。
皆、食欲旺盛で元気に過ごしていますのでご安心ください。
(荘長 殖栗信夫・写真は木工実修から)
注記:この「野尻学荘だより」は会期中野尻学荘現地から直接BBSにお送りしたものを再編集しました。