-1- 第354号 | 平成18年3月6日 |
学長 森本晴生
短期大学では、平成十八年度から新たに臨床検査学科を設置して、従来からの生活学科と合わせて二学科体制で進むことになりました。これは、これまで医学技術専門学校(医技)の臨床検査学科で行ってきた臨床検査技師の養成を、短期大学として行うものです。
医技は、昭和二十七年に病院での検査を担当する技師を養成するため、短期大学の中に医学技術研究室が設置されたものが始まりです。その後、昭和三十年に医学技術学校として認可を受け、衛生検査技師制度の成立とともに昭和三十四年には衛生検査技師養成施設として指定され、臨床検査技師制度の発足に伴い昭和四十六年に臨床検査技師の養成施設となりました。さらに専修学校制度ができた昭和五十一年に今の校名・医学技術専門学校になりました。
昨年春に文部科学大臣あてに設置認可の申請を行い、十二月五日に設置認可を受け、同時に平成十八年度からの臨床検査技師養成施設の指定も受けました。
校舎はこれまでの医技の校舎に一部改修を行ったものを使用します。教員も医技の教員が短期大学の教員となって検査技師教育を引き継いでいきます。
新設校の場合、卒業生の就職実績はないのですが、この臨床検査学科は医技の卒業実績と国家試験の高い合格実績を踏まえて、新たな展開をしていきます。
生活学科
生活学科は、平成十八年度から幼稚園教諭の養成施設としての指定を文部科学大臣に申請中で、必要な準備を進めています。この指定を受けると、国家資格として、食物栄養専攻では栄養士、生活福祉専攻では介護福祉士、児童生活専攻では保育士と新たに幼稚園教諭の養成を行うことになります。
幼稚園教諭養成へ
生理機能実習(脳波実習)
新渡戸稲造 その(2)
「士魂商才」
学務理事 升野 龍男
耐震強度偽装に始まり、ライブドア、東横イン。資本主義は倫理とセットであるはずなのに、魂が欠落しているとしか思えない事件が相次ぐ。こういう背景があるからか、次期経団連会長の御手洗冨士夫・キヤノン社長は、年頭所感で次のように語った。「時代によって求められる素養は変わるが、まずは勤勉を美徳とし、自己犠牲で公に尽くすという日本人の精神文化や価値観を教育の場で再構築するとき」。これは武士道そのもの。資生堂会長の池田守男、東京三菱UFJ社長の畔柳(くろやなぎ)信雄も、武士道の必要性を説く。「武士道」の大切さがいま声高に語られているのは、日本人の心の拠り処が見えなくなっているからに他ならない。国法人、個人に必要なのは、どっしりとした背骨。
学園創立者・森本厚吉の愛弟子、湊くに同窓会会長はこう語る。「森本先生はお金儲けが上手かった。日比谷公会堂で有料音楽祭を催し、資金を稼ぎ出したたこともある。教育者でありながら商人の才覚に長けていた」。その彼が初代校長に招聘した人物が新渡戸稲造。商人の才覚プラス武士の魂である。そういえば昨今採り上げられているのが雨天に狭い道を行き交う際、お互いに傘を傾け合う行為に代表される「江戸しぐさ」。これは江戸商人の生活マナー。商いを営む一方で人への配慮の必要性を具体的に示している。武士道と商人道。「士魂商才」は二十一世紀に必要不可欠な 心意気。我々の掲げるたいまつの照らす方向が明確になった。