-3- 第357号 | 平成19年7月12日 |
短期大学 臨床検査学科 |
医学技術専門学校 |
「エンブリオロジストとして」
聖路加国際病院 女性総合診療部 生殖医療センター
第56回卒業生 石井 絵理
社会人になって二度目の春が過ぎ、気がつけば私も、もう新人さんとは呼ばれなくなってしまいました。日々進歩する医療の現場で、置いていかれないよう必死の毎日ですが、二年前の私は病院実習の真っ只中にあったのだと思うと少し不思議な気もします。あの頃は明日の実習について考えるのが精一杯で、今の私の仕事について話されても、きっと聞く余裕なんてなかったでしょう。
私は現在「エンブリオロジスト」として働いています。エンブリオロジスト、と聞いてすぐにピンとくる方のほうが少ないかと思います。「エンブリオ」というのは、受精卵のこと。「エンブリオロジスト」とは、受精卵や精子を扱う、不妊治療の現場での技術職を指します。エンブリオロジストは国家資格ではありませんが、学会によって認定される資格です。実際の現場では、農学系やバイオサイエンス系の大学を卒業した人や、私のように臨床検査技師の資格をもった人が業務を行っている場合が多いようです。
▲石井絵理さん
仕事の内容は病院によってもずいぶんと違うようですが、私の職場の場合は設備の管理、精子や卵子を扱う仕事はもちろんのこと、患者様への検査や治療の説明、時には今後の治療に関する相談まで、幅広い仕事をエンブリオロジストがカバーしています。その仕事の幅広さもさることながら、ひとつひとつの仕事の責任の重さに、押しつぶされそうになることもしばしばです。
卵子も精子も人の命につながるもの。やがては一人の人間になる、その生命の誕生を長い間待ち望んだ家族の一員になる、大切な大切な存在です。それを扱うのだと思うと、就職したばかりの頃は緊張のために手が震え、仕事にならない程でした。
最近になってようやく仕事にも慣れてきましたが、余裕などまだまだありません。もしかしたら、余裕など一生無理なのかもしれません。でも、一生かけてもいいほどのやりがいが、ここにはあるような気がしています。
臨床検査学科に入学して
臨床検査学科 1年生 山田千裕
入学してから三ヶ月が経ち、学校生活にも少しずつ慣れてきました。学校全体の雰囲気はアットホームな感じで、先生方と学生達はとても仲が良いのです。しかし講義では常に緊張の感があり、先生方の熱意が伝わってきます。毎日1限から4限、またはそれ以上講義や実習があるので1一つひとつを消化していくことは大変ですが、これも臨床検査技師になるためには不可欠なので忙しいながらも充実した日々を過ごしています。
先日の体験実習では、実際の臓器に触れるなど、とても貴重な体験をすることができました。『この臓器は提供していただいたものです。敬意を払うとともに、人の命を常に重く受け止めていかなければいけません。』と言う先生の言葉が強く印象に残りました。
私はこの先医療に携わっていく者として責任感を持ち、真摯な態度で、何事にも一生懸命に取り組んでいきたいと思います。そして同じ目標を持った仲間と共にこれから頑張っていきます。
自己紹介
臨床検査学科(准教授) 藤田和博
この4月に東京文化短期大学臨床検査学科の専任教員として着任しました。分子生物学、遺伝子関連検査学を主に担当いたします。
私はこれまで昭和大学藤が丘病院の中央臨床検査部で、白血病に代表される血液腫瘍やダウン症候群など先天異常の遺伝子・染色体検査を担当してきました。また日常業務の傍ら、内科(血液)学教室に所属し、染色体異常の分子細胞遺伝学的解析をテーマに研究を行ってきました。近年の臨床検査には病気の診断や治療効果を判定するための新しい遺伝子解析技術が導入されており、これまでの経験を教育の場で生かそうと考えています。
今日の教育、医療は少子高齢化に伴い変革の時期を迎えております。このような中、3H精神に基づいた、社会に求められる人材の育成に努めたいと思います。